物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

「終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?」 (2014~2016) 感想 終末を描く壮大なストーリー タイトルで決めつけないで!

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (角川スニーカー文庫)

 

評価:★★★☆☆(星3.5)

 

概要

全5巻

(新章として続編1~4巻で刊行中)

アニメ 全12話

 

 

うーん。いまいち感動できなかった。物語の雰囲気がすごくいいんだけどなー。ストーリーの展開や設定もよかった。けれども全体の物語を進めようとして、物語の展開に無理があったりキャラクターの心情がおざなりになっている感じだった。すごい感動できる内容であるはずなのに、感動に至るまでの根拠が薄くて微妙でした。

 

 

まずヴィレムの過去が準勇者で人類の終末を闘い抜いたのはわかった。でも500年後に目覚めて、世界が変わってしまったことショックとか心の傷とか軽く流されすぎてて感情移入できなかった。おそらく悲しんでいるのだろうなーと言う描写はあったけど、少し視点が達観しすぎている。というか終始達観しすぎている。

 

その達観している原因のエピソードが準勇者の経験だったり、孤児院の経験なんだろうけど、それも詳しく書かれていない。最初から達観していたわけではないだろう。その理由のエピソードがあるとよかった。ないので字面から想像するしかなかった。主人公の思いの核というか背景が抜けているせいで、クトリを好きになってしまう心情の変化もいまいちよくわからなかった。

 

 

それにクトリが死んだ後の4巻でクトリのことあっさりと忘れすぎではなかろうか?結婚したいほど好きだったのに、あっさり過去の世界に入り浸っちゃっていたのが残念だった。そこは少し悲しもうよ。あっさり数ページほどでおわらせないでよー。

 

 

 

 


オレツエー系のお話ではないことはわかるが、これではオレツエーにしか見えなかった。キャラクターの精神的な成長をしっかり描いてこその物語だと思う。今回のこの話はあまりそれが伝わってこなかった。

 

 

良かったところも書いておこう。
死を覚悟していたクトリがヴィレムの出会いによって死ななくても大丈夫なんだということを知って、そこからヴィレムが気になってきて好きになる。今までなかった価値観を与えてもらったことがきっかけで好きになってしまう展開はなんとなく好きだった。主人公がラスボスになるのも大変アツかった。展開的には完全にコードギアスだったけど。

 

特に妖精兵が先輩の意思を受け継いでいく様子が一番好きだったかな。先輩が使っていた武器を、死んでしまった先輩の代わりに後輩が受け継ぐ。ガンダム的な感じでで好きです。もしくはグレンラガン

 

各巻の冒頭にあるポエムもかっこよかったです。キャラの心情に入り込めなかったので感動はしなかったですが…。

 

物語としてはとても良かったと思います。世界観をしっかり説明してそこから感動的なストーリーが配置されている。伏線もある程度は整えられている。そんな構造は良かったのですが、ヴィレムの精神的な背景や成長がさらりとしか描かれていないためせっかくのしっかりとした物語の流れの中で感動できないと言ったことになったのが残念だった。

 

 

物語の雰囲気はとても好きでした。
アニメも1話の冒頭はとても良かったです。

 


アマゾンの評価はとてもいいのでおそらく僕の価値観がアマゾンの人たちとずれているのだと思いました。難しそうな伏線もしっかり主人公やその周りの人たちが説明してくれているところ、基本的に会話が中心の展開であることで非常に読みやすい作品だったから高評価だったのかな。僕的には伏線を説明しているところは若干萎えたけど、特に5巻の決戦でアイセアが主人公の目的を説明しちゃってるとことか。

 

 

アニメを見て感動した人は買ってみるといいと思います。だいたいアニメの通りの雰囲気で小説も楽しめるはず。難しいところを考えずに壮大な世界に浸りたい人にはオススメだと思う。

 

それではー。