物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

Charlotte (2015) 感想 「被害者側の論理だけで世界を変えていいものなのか」

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評価:★★★☆☆(星3つ)

 

いろいろお話しの進行に疑問が生じ過ぎて集中できなかった。結局この物語を通じて何が言いたいのでしょうか。
 
ネットでは詰め込み過ぎという意見もありますが、僕もそれに同意でした。
 
最終的に地球上に発生した能力者たちをどう扱うべきか、と言ったかなり壮大なテーマになっている。この内容の解答を示すには1クール13話はかなり厳しいものだったと言わざるおえないですね。
 
ゆさりんの可愛さだけでは、この説明不足を補うことはできませんでした…
 
じゃあ何が不足していたんでしょうか。
 
 
 
 
 

被害者側の論理のみで物語が進む

ゆうくんは結局妹が死んで、自暴自棄になってともりに救われた。それで生徒会に復活してライブに行く。なぜか消された記憶が蘇って兄のために戦うことにする。中国系テロリストと戦ってけがをする。そこで世界中の能力を奪って能力者をなくすことにする。頑張って能力を消して日本に帰ってくる。けどその時点では記憶はなくなっていた。
 
 

ここでゆうくんがわざわざ世界中から能力を奪おうと思う覚悟の理由はなんだろうか。研究所の記憶や妹が死んだこと、中国系テロリストとの交戦の経験がきっかけとなっている。能力を持っているとそれを悪用する人がいたり、研究所からも狙われる、能力者を扱うテロリストも現れる。そんな悪いことしか起こらないような能力など全員からなくしてしまえばいい!というのがゆうくんやそのお兄さん側の主張。
 
 
 

しかしこれにはいくつか視点が欠けている。1つは研究所とやらの存在だ。
 
 
 
 
 
 

研究所っていったいなんですか

 

なぜ研究所が存在するのか、研究所側の論理の主張が全く示されていない

 

この研究所というのが公的な機関なのか、それともテロリストのような私的な集団なのか、企業のような集団なのか、全く明らかにされていない。もしも公的な機関ならばなぜ存在しているのか、私的な集団ならばそうだとしっかり明示しておく必要がある。今回は完全に被害者側の論理だけで物語が動いてしまっている。

 

能力者の非道な実験は確かに最悪だけど、こんな感じで社会に貢献しているんですよといったものもあったかもしれない。もしかすると今は基礎研究の最中で結果は出てないのかもしれない。なぜ非道な研究を行うことになったのか、その背景も何もわからない。被害者側の視点からしか説明がない

 

 

例えばまどかマギカとかでは、物語を通して魔法少女側の主張だけが描かれているわけではない。魔法少女側の意見だけを見れば願いを叶えてもらった代償に、最終的な結果として命を差し出すようなことになってしまっている。ここだけ見ればキュゥべい最悪!だから滅びろ!となってしまう。

 

しかし物語中でちゃんとキュゥべい側の主張もまどかとの会話を通してしっかり説明している。キュゥべいたちはエネルギーを回収するために、魔法少女牧場的なものをやっていること、魔法少女にも悲劇に見合うだけの報酬を渡していること、長い目から見れば地球にとって必要なことであることなどなどちゃんと説明している。

 

 

確かに魔法の代償も与えられる成果から考えればある意味当然。常軌を逸した願いを叶えるのならば、その対価として常軌を逸した不幸が起こるのは至極もっともだ。

 

 

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魔法少女側の主張とキュゥべい側の主張がはっきりしているからこそ、最後のまどかが示した選択が視聴者に納得できるものになっている。ほむらちゃんは納得してなかったけど、そこは置いておく。

 

 

 別に被害者が自分勝手だ!というつもりはない。能力者の人たちが傷ついているのは事実。だから能力車が研究所に反乱を起こすのはむしろあたり前のこと。

 

 

けれども1人の視聴者としては両者の意見が対立して、その上で主人公が

 

それでも僕は能力を消さないといけないんだ

 

と辿りついて欲しかった。

 

 

 

 

能力の有効性について

2つ目は能力の有効性。物語中では常に能力が敵視されている印象を受けた。その能力をどう活用するべきかという部分にはほとんど触れられていない。とにかく能力使うと研究所に見つかって廃人になるから今すぐやめろ、としか言っていない。

 

 

最終話で能力を医療に使っていたり、ゆさりんみたいに外部には全く影響がない能力者もいる。ゆさりんの姉に関してはいい感じに済んだが、そうではない人が大半。その人たちの意見を踏みにじってまで能力を奪う理由がない。

 

 

自分の体の一部だった能力を本人の了解なしに奪うことは、研究所の人たちがやっていることと何ら変わらない。

 

 

 

 

その他の疑問点

個々のエピソードも結構穴だらけで感情移入するには条件が乏しい

 

 

最終話の部分でゆうくん1人でで歩かせていいんですか?

1人で歩き回るわけにはいかなかったんじゃないの?

 

 

研究者側の人は出てこないの?

脅威は最終的にテロリストになってる。

 

 

熊谷が死んだことに対してお兄さん精神もろ過ぎない?

ループの時に友達は誰も死ななかったのですか?

 

 

妹死んだ時にあれだけ自暴自棄になっていたことに対するお咎めはゼロですか。

 

 

 

消された記憶って結局何で思い出したの?

 

 

能力奪う能力を気づく前に仲間に使っていたらどうしていたの?

ギャグで乗り移って奪っちゃいました?みたいなこと起きそうだけど。

不用意に能力が奪われないように予防線を張っておくべきだったのでは?

 

 

 

ゆさりんは何で生徒会に入ったの?

ゆさりんの能力って全く役にたちそうにないのですが…

 

 

 

 

最後に

今回のシャーロットでは常に被害者側の視点で描かれているため、物語の展開に納得が生じない部分が多くあった。加えてキャラクターの行動に対する説明が不足している部分が多過ぎた。

 

2クールくらい欠けてゆっくりやれば筋の通った作品になったのではないかなー。

 

 

説明が不足して中身が希薄な物語だった。

 

うーん。僕はリライトも2期の3話くらいで切ったけど、その時も小太郎が何言っているのかわからなくなったからだった。あまりkey作品は合わないのかもしれないですね。

 

あー

元気になるおまじないが欲しいです。

 

それではー