物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (2011) 感想 「書くとは頭の中の考えを翻訳すること」

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

評価:★★★★☆(星4.5つ)
 
 
 
フリーライターである古賀史健さんによる、文章の書き方を指導する本だった。
 
 
 
 
文章を研究している学者によって書かれた本ではない。古賀さん自身が今まで実践で積み重ねてきた経験を元に書かれた本になっている。とはいえ、実践不可能な理論や事実や技術が書かれているわけではない。文体もとても読みやすく、柔らかいため、特にお堅い本ではない。そこはさすがのフリーライターといった感じだった。
 
 
 
 
 
簡単に内容をまとめてみた。重要と思ったとこだけ抜き出して語ります。
 
 
 
 

 

 
 
 

文章を書くとは頭の中の考えを翻訳すること

最初に挙げられていたのは、文章を書くとはどういうことかということだった。
 
 
 
文章書くこととは頭のなかのぐるぐるを翻訳することであり、書くことによってそのぐるぐるを整理していくことのようだ。同様に誰かと話すことも、内容を整理することになるため、書くことに効果的みたいだ。
 
 
 
これは完全に同意。僕もブログに挙げていない文章も含めると100個くらい感想文を書いてきてそう思った。書いてまとまる内容もある。感想を書く前は逆に、どれだけ流し読みしていたんだ! と絶望したくらいだ。
 
 
 
アニメも本も1回見ただけでは内容なんてほとんど入っていない。それこそ「面白かったーー!」とか「難しかった…」くらいしか思っていないんじゃないのかな。Twitterには小並感 ( = 学生みの想) が満載なのは、多くの人が書くという作業をしっかり向き合っていないからじゃないのか。しっかり書こうと思っていないから、考えがまとまらず、小並感にとどまってしまう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

わかりやすい文章のために「文体のリズム」を作る

次にわかりやすい文章を書く方法として、「文体のリズム」が強調されていた。リズムを作るためには論理展開が重要となる。論理破綻を防ぐために、文と文の間に接続詞を活用することが勧められていた。そのほかにもリズムを作るために視覚的に見やすくすることが求められる。だらだら長い文章書いたり、1文を長くしすぎたり、難しい感じを使わないこと、などなどによって解消される。
 
 
 
 
 
そういえば、書店でこういう本があったのを思い出した。

 

文章は接続詞で決まる (光文社新書)

文章は接続詞で決まる (光文社新書)

 

 

 僕はこれを読んだわけじゃない。けれども同じことを思っている人はいるんだなーと思った。
 
 
 
 
 
視覚的に見やすい文章はこれが代表例。これはぜひアクセスしてもらいたい。1秒でいいから見てもらいたい。 1秒でわかりやすい文章のコツがわかる。
 
 
 
 
 
 
 
 

論理の作り方 ーー視点の切り替え、主張・理由・事実

では実際の論理をどうやって作っていくのか? という疑問が湧いてくる。論理的な文章を作るコツは2つある。1つは序論・本論・結論で視点を切り替えること。客観的→主観的→客観的なことを書く。このことによって文章の全体像と筆者の主張を見渡すことができる。それによって読者の理解が促される。
 
 
 
2つ目は主張・理由・事実を盛り込むこと。主張がなければ文章の目的がわからず、主張の理由と、根拠となる事実がなくては主張が希薄なものになる。そのため主張・理由・事実が互いに関連し合うことが重要になる。
 
 
 
僕はこの部分が一番参考になった。ブログという性質上、視覚的に読みやすくなければ、まず読んでもらえない。じゃあ次にどう書くか? という部分に疑問を持っていた。そのコツがこの2つに集約されていた。
 
 
 
僕は文章を書くときに、全体の概要→僕の感想→まとめ、ということを意識していた。なので改めて自分の経験を補強された。次の課題は主張・理由・事実を意識することになる。まあそこまで硬派な文章を書くつもりはないけど、機会がある時はぜひとも意識して書きたい。
 
 
 
 
 
 

読む人の気持ちになる

もちろん読者の視点も忘れてはいけない。具体的な読者を設定することによって、伝えるべき情報が明確になる。作者は特定の誰か、10年前の自分を例に挙げていた。また読み易い文章にするために、身近な誰かも設定する。そのことで自分よがりの文章をわかりやすくすることが意識できる。
 
 
 
 
「いますぐ書け、の文章法」にも同様のことが書かれている。
自走する文章を書くには、「誰に向かって、どういうことを書いているのか」が意識されているときだけ、である。
 
 
 
なんとなく、誰にも向けずに書いているものは、そこに止まったままの文章である。
 
 
 
13世紀に常陸の国から急ぎ京へと上り、地元の者たちに師の真意を伝えようとして師匠の言葉をメモした文章(歎異抄)には、千年を超えて人に伝わる力が籠っている。
 
 
 
(まだ千年超えてないけどさ)唯円の「聞いたことを伝えないと」という切羽詰まった心情が、文章に深く根付いていて、師親鸞の言っている内容を超え、唯円の心持ちが迫ってくるのである。書き漏らしても、あとでメールで聞き直せばいいや、という気持ちがないから、ですね。
 
 
 
この気持ちは21世紀になっても同じ。出ないと、学校という「強制的に同一空間に人を集めて話を聞かせる」というシステムが強固に守られ続けるわけがない。
 
 
 
 
誰に向かって、どういうことを書いているのかが意識されている文章。
 
 
 
大事なのは、「誰に」である。どういう文章かというのは、あとまわしでいい。内容なんかどうでもいい、ということである。
 
 
 
誰を、どうしたいのか。
 
 
 
「28歳のよく笑う女性:ユリエちゃん」を、読んで、楽しい気分にさせたい、できれば笑わせたい。
 
 
 
そういう意思です。これは週刊誌で文章を書いているときの私の初期設定である。
 
 
 
大事なのは、その初期設定と、おもいの強さである。

 

誰に書いているのかがはっきりすれば、書く内容も具体的になるということですね。ちなみに僕は昔の自分に向けて書いています。 
 
 
 
 
 

文章の推敲方法 ーー書く前と書いた後に考える

最後に文章の推敲方法が挙げられていた。推敲とは文章を編集すること。主に文章を書く前と書いた後に行う。書く前は元ネタの何を書かないか、を考える。書こうとする文章を図式化するのもいいようだ。書いた後は3回以上読み直すことが勧められていた。
 
 
 
 
 
 
 

あとがきにて

そしてあとがきで「とにかく書き始める」ことが挙げられていた。今回の本に書かれていたことはとにかく置いておいて、まずは頭のなかのぐるぐるを書いてみる。そのことによってぐるぐるに対する答えを探すことが求められていた。
 
 
 
 
 
 

最後に

文章の書き方について、書くことの定義から文章の組み立て方まで書かれてた本だった。とても実践的で、今この瞬間この文章を書くときにも意識している。とてもいい本だった。
 
 
 
この本は「いますぐ書け、の文章法」と共通点が多い。この本の筆者と同様にフリーライターである堀井憲一郎さんによって書かれた本である。この本を読んで興味深いと思った人、もっと文章の書き方について知りたい人にはこちらもおすすめしたい。
 

 

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

 

 

 

 

 
まあこの本を読んだ人はまずは1つ、何かしら文章を書いてみるべきだとは思うけれど。
 
 
 
なんか文体が硬くなっちゃった。です・ます、だ・あるの使いわけって難しい。ラノベやアニメの感想を書くとかなり柔らかくかけるのに、こういう実践的な本だとどうしても真面目に書いてしまう。
 
 
 
そこは研究あるのみですね。
 
 
それではー
 
 
 

 

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)