物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

さよならの朝に約束の花をかざろう (2018) 感想 「長命の種族と人間の子供の一生、種族問題、時間が生むすれ違い、とにかくいろいろと詰まった作品だった」

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評価:★★★★★(星5)
 
「あの花」で有名な岡田麿里さんの初監督作品。岡田麿里さんというといくつものアニメの脚本をしているので、アニメオタクなら名前を知っている人は多いはず。
 
 
岡田麿里といえば一番有名な作品では「あの花」がよく上げられる。でも僕はあの花は途中までは感動できたけど、11話の展開で「あれっ?」と思ってしまった。加えて「とまるんじゃねえぞ・・・」で有名な鉄血のオルフェンズでも最後の展開に「あれっ?」と思ってしまった。それ以来、僕の中では 岡田麿里=途中までは面白い作品を作る人、になってしまった。
 
 
 
そんな感じでイオンでの買い物のついでにとりあえず映画館へ行って見てみた。そしたら、最初からクライマックスみたいな展開から終始見入ってしまった。
 
 
 

きっと、あなたも母さんにやさしくなれる

インタビューによれば、「時間」を題材にしたお話しだったようだ。だけど僕がみた印象としては母親と子供の関係が記憶に焼き付いていた。世界観的にはフィクションかもしれないけど、そこに描かれている人と人との感情は現実の世界にも通づるものがあった。
 


 
ふとした展開から村の外にでてしまったマキアにとって、ひとりぼっちではない「だれか」の存在は大きかったのだろうね。というかcv平田広明!もっとマキアを助けてやれよ、と思わずにいられなかった。
 
 
 
またマキアとエリアスの関係からはどうしても母子家庭を想像させた。親一人、子一人というのはこんなかんじなのかな・・・と考えずにはいられなかった。僕は子供はあまり好きではないけど、少なくともその母親には今後優しくしていける気がした。
 
 
 
メザーテの国を出た後に生活の辛さをエリアルにぶちまけてしまうところとかは、完全にフィクションとは思えなかった。エリアルの側もしっかり反抗期、からの親からの自立の部分まで描かれていて、こういうようなシーンから世界が本当に目の前にあることが感じられて本当によかった。
 
 
 
親と子の関係や家族とかいうものを丁寧に描いたアニメは僕の見た中ではCLANNAD After Storyくらいだったかな。小説やドラマなのではよくあるのだろうけど、アニメで扱っているものは少ないはず。それくらい扱っているテーマが珍しかった。なのである意味僕には知識が少なかったので、かなり見入ってしまった。
 
 

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時間に取り残される側とそうではない側の気持ちを描き切る

物語の前半は母親と子供の関係が中心だった。だけどエリアルが成長するにつれて、マキアが人間ではないという事実が浮き彫りになってきた。話の冒頭で出てきた「別れの一族」と呼ばれる所以がわかってきた。
 
 
 
歳をとらない種族と人間がすれ違っていく・・・みたいなお話は、どこかで聞いたことのある物語の形ではある。でもそれを一本の作品の軸に置いて展開させる物語はあまりみたことがなかった。最初に「人間を愛してはいけない」と言われ、エリアルが成長していくにつれてマキナもその理由をわかっていく。だけど、最終的にその出会いに感謝をし、エリアルの元から立ち去る。とか書いたけど、最後の別れのシーンはいきなりエリアルの元にいたことに疑問を覚えてぼーっとしていたのであまり正確に覚えてない。だけどそんな感じだったよね。たぶん。
 
 
 
この映画自体、長命の寿命を持つマキナとしての最も重要な人生一ページの物語みたいな感じなんだろう。
 
 
 
 
 

レイリアさんはあれでよかったのだろうか

マキナは綺麗にエリアルとの人生を終えることができた。だけど一方レイリアさん(あとクリム)は少し悲しすぎやしないか。二人はかなり悲劇的な展開をしているよね。
 
 
 
乱暴な言い方すればレイリアさんはレイプされたってことだし。衣食住は問題なかったみたいだけど、望まぬ妊娠をして、子供にも会わせてもらえない。しかも恋人を目の前で殺される。そのまま籠の中の鳥の生活を10年?近くして、最後にはやっと会えた娘に向かって別れ際に「あなたのことを忘れるから」と。レイリアさんの視点で見ればただの悲劇でしかない。最後の方のシーンから、レイリアさんはその日々を消化して、自分の中で割り切っていたようだけど、それでもすこし悲しすぎないかなぁ。
 
 
 
クリムくんに至っては突然現れた大国(メザーテ)によって恋人を奪われて、復讐のために生きて恋人を奪った国を滅ぼそうとしたけど、最後にはレイリアさんにも半ば拒絶される形となった。外野の僕からすればレイリアさんの気持ちもわかってやれよと言いたくなるけど、恋人のために何年も頑張ってそれが否定されているクリムくんにむかってそれはいえない。どちらが悪いとはいえないし、しいて結論をいえばメザーテの国が悪い!・・・のかもしれないけど、メザーテの国もなんとか国を生き延びさせる手段をとったのだろうなぁと考えると、完全には責められない。結局誰が悪いとはいえないのだよなぁ。
 
 
まぁとりあえず言えることは、そりゃ無理心中もしたくなるよな、ということくらいか。
 
 
 
個人的にはイゾル(cv杉田智和の人)がなかなかよかった。イオルフを襲うのに疑問を持ちつつも役割には全力を尽くす。レイリアさんにも終始配慮していたのがとても印象的だった。
 
 
 
 

主人公の中の人は花澤さんかと思ったら・・・

主人公はずっと花澤香奈さんかと思っていたけど、家に帰ってネットで調べてびっくり、まさかの新人声優。声がめちゃくちゃ花澤さん似ている。おそらく花澤さんじゃないよと言われなければ気づかなかった。
 
 
wikipediaによれば、まだ新人だけど、すでに何本ものメインキャラを担当しているみたい。そりゃあれだけ花澤さんに似ていてるなら仕事とれますよ。いやー本当にびっくりした。
 
 
 
 
 
 

最後に

細かい疑問は少しはあるけど、全体的によくまとまっていた作品でした。僕の中の岡田麿里さんのイメージが上方修正されました。
 
 
長命の種族の視点から人間と交わる困難さ、また母親から見た子供への強烈な思いが伝わる作品でした。
 
 
うーん、あまりうまくまとめられなかったけど、とりあえずこれで終わります。
 
 

映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』オリジナルサウンドトラック