マブラヴオルタネイティヴ (2006) 感想「人の成長」を描く傑作の物語
評価 ★★★★★ (星5以上 傑作)
各リンク
今回の目次
今回の言いたいこと
マブラヴオルタネイティヴは傑作だ!!
1. マブラヴの概要(未プレイ向け)
僕は2013年の3月に初めてプレイしたけど、この記事を書いている2017年5月現在の約4年間の中でこれを超える作品に出会ったことがない。
一番の魅力は、作品を通して「人の成長」を最初から最後まで描ききっているところ。たかがフィクションではなく、現代の日本の状況を表しつつ、人間の成長に必要なことを提示し、現実に通づる考えを主人公の物語を通して次々と提示しているのはすごい。
マブラヴの名言がわかる動画
しかもそれが説教くさくなく、完全に納得できる形で描ききっている。しかもエンターテイメント性もしっかりある。戦術機っていうかっこいいロボット出てくるし、可愛い女の子も出てくる。
マブラヴのかっこいいPV
2:00 ~ 2:20 あたりが最高。
知らない人のためにマブラヴの概要を載せておきます。下の「マブラヴの概要がわかる動画」を見た方がわかりやすい。
動画を原作者が絶賛してるので、クオリティは保障されてるはずです。動画を見た後にこの後読んだ方がいいかもしれない。少し長いのでみるかどうかはお任せ。
マブラヴの概要がわかる動画(Part1)
ちなみにこんな感じの動画(約20分)が全部で8個あるので、とりあえずこれ1つ見ればいいと思うよ。
マブラヴの概要がわかる記事
これも長い!!
まぁそれだけ奥が深いってことを表しているのですよ… ( ̄Д ̄;;
では概要。
マブラヴは大きく分けて3章に分かれていて、
ソフトはマブラヴとマブラヴオルタネイティブの2本に分かれていて、マブラヴをやってからマブラヴオルタネイティヴをやらないと作品の魅力が半減…というか激減します。なので必ずマブラヴからプレイしましょう!!!(断言)
(2017年5月現在:PS3, PSvita, Steam, windows7版でプレイ可能)
マブラヴオルタネイティヴ(画像:PS3版)
(2017年5月現在:PS3, PSvita,Steam, windows7版でプレイ可能)
マブラヴはタケルを通した人の成長物語です。エクストラ編はただのラブコメだけど、アンリミテッド編から平行世界の地球を舞台として地球外生命体と戦争をする話になってます。地球外生命体との戦争を通してタケルが成長する物語になってます。
※ここからネタバレ
マブラヴが気になっている人はここで読むのをやめて上のリンクの記事や動画を追ってみるといいです。あまり調べすぎるとネタバレするのでほどほどにしといた方がいいけどね。
まだマブラヴわからないって人はとりあえずマブラヴの派生作品がアニメ化しているのでそれをみるのがおすすめ。
その中でも「トータルイクリプス」1話と2 話をみるのが僕のおすすめ。マブラヴの世界観がわかりやすく提示されてるよ!(グロ注意)
個人的なことを言えば、トータルイクリプスの1話と2話は無料にすればいいのになーって思ってる。権利関係でダメそうだけど。
さてと前置きが長くなりましたけど、そろそろ感想を書いていきましょうか。
2 マブラヴプレイ後の感想と考え(プレイ済みの人はここから)
マブラヴ EXTRA編
白陵大付属柊学園3年生の「白銀武」は、幼馴染の「鑑純夏」や親友の「鎧衣尊人」たちとふざけ合いながらも普通の生活を送っていた。そんなある日の朝、目が覚めた武の隣には少女が寝ていた。そしてその少女「御剣冥夜」はそのまま住み着いてしまう。
冥夜の登場で少しずつ変わっていく周囲との関係。クラスメイトの「榊千鶴」、「彩峰慧」、「珠瀬壬姫」を巻き込みながら展開される、在り得ないほどコメディチックな日常。今までの緩やかな時間とは裏腹に、急速に変化していく心。それを望む者と望まぬ者。
行き着いた先には何が待ち受けているのか。そして結末は………。
マブラヴ UNLIMITED編
「白銀武」は冥夜や純夏、クラスメイト達と共に、仲良く、普通ではないが平凡な生活を送っていた。ある朝目が覚めると、時刻は8時を過ぎていた。遅刻だと思った武は慌てて外へ飛び出すが、目の前には朽ち果てた町並みが広がっていた。そして純夏の家を押し潰すように倒れている人型ロボット。武は夢だと思い込み、「白陵大付属柊学園」へ向かうが、そこは「国連軍横浜基地」になっていた。ますます夢だと思った武だったが、不審者として捕まった後、ようやく夢でないと感じ始める。
香月夕呼によって留置場から出ることができた武は、この世界が地球外起源種「BETA」と戦争中であることを夕呼から聞く。そして、「白銀武」はこの世界に「存在していない」ことを聞かされるが、武はその事実を受け入れる事は出来なかった。
しかし明日を生きるため、香月夕呼の言葉を受け入れ、やむを得ず訓練兵としての生活を始める武。そこには「元の世界」にいたクラスメイト、「御剣冥夜」、「榊千鶴」、「彩峰慧」、「珠瀬壬姫」が居た。当然、冥夜達は武のことを知らず、武は戦時下の軍国主義社会の価値観や覚悟の違いに当惑しながらも、いつか「元の世界」に戻れることを信じて、冥夜達と日々訓練に励む。
その戦乱の世界の中で得る知識・友情・愛情が武の心に大きく作用する。 これまで自分が生きてきた世界は本当に現実なのか、夢なのか。今の世界にいる自分は真実の姿なのか。そしてこの先には一体何があるのか………。
引用:
ちょっと復習
エクストラ編 = 日常
アンリミテッド編 = 非日常
オルタネイティブ編 = 2回目の非日常
ということになる。エクストラ編では現代人と同じような普通の日常。そして平和な日常を生きていたタケルがいきなり宇宙人と戦争している平行世界の地球に飛ばされ、そこで元の世界に帰ろうとするのがアンリミテッド編。そしてアンリミテッド編のラストで地球が滅びることが確定してしまい、それをなんとかしようとするのがオルタネイティヴ編となる。
つまりマブラヴの物語は、普通の日常を生きていた高校生が宇宙人と戦っている世界に飛ばされてそこでの戦いを通して自分を成長する物語。
僕が一番感動したのは
①自分の意思を持ち始める過程
②その意思を持って世界を変えていく過程が丁寧に描かれていること
これはプレイした後にはぼんやりとしかわからなかったけど、以下の2つの記事を読んで納得できた。
1:エクストラ編/君が望む永遠 :意思がななく状況に流されるだけ(無意識に幻想に沈む)
2:アンリミテッド編 :意思はあるが状況(=現実)が直視できていないが故に、現実に関われない(無意識ではないが現実の直視はできない)
3:オルタネイティヴ編 :意思によって世界を変える覚悟を持つに至る
つまりタケルはアンリミテッド編で異世界に飛ばされて、元の世界に帰りたいけど、帰る方法がないから状況に流されて過ごす。そのうちにその世界に馴染んできたところで地球滅亡宣言されて終わるって流れ。ざっくりとした目標は持っているけど、それに対する具体的な行動は全くしていない。
異世界に飛ばされるって状況が訪れたから仕方なく、元の世界に帰ろうとしたってだけ。それで気が付いたら異世界の状況が変わっていて、なにもできなかった自分を後悔して、その絶望を回避するためにオルタネイティブ編で動き出す。つまり失敗を元に意思を持つ。
異世界に飛ばされるのはさすがにフィクションだけど、この状況は現代にも普通に当てはまる。個人的な話をすれば昔の自分がそうだったのですけど、大学とか特に目的もないのにMARCHとか目指したりしていました。特に目標はないけど、勉強しないといけないからするんだけど早慶は難しいからとりあえずMARCHならいけそうかな的なことを考えてた。
これも別に僕だけに限った話ではなくて、昔に個別指導塾でアルバイトしているときにとりあえずMARCH(さらに言えばとりあえず明治大学)って言うやつが何十人いたか…(笑)。しかも毎年必ずいるっていうのがおもしろい。
明治大学舐めんな!
と言ってやりたかった。ちょっと言ったけど。
近大「志願者数」3年連続トップ!明治、早稲田が負けるワケ【志願者数ランキング100】 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online
ちなみに僕は明治大学ではないけどね(笑) それに最近(2015~2017)の人気1位は近畿大学みたいですし、一概には言えないのかもしれないかもしれない。
それでその塾は平均で毎年100人くらい生徒がいて、そのうち20〜30人は高校3年生だった。だけど心の底からこれしたいから絶対この大学いくとか言うやつはほぼいなかった。いや、ゼロって言ってもいいくらい。
つまり現代の高校生なんか、昔の自分も含めて大した目標もなく状況に流されているだけなんですよね。そんなものです。その中で、自分でこうしたいと言う意思を持つことってすごい難しいなっていうのが僕の主観。
明確にこうしたいという目標を持っている人は100人に1人いたかなって思います。僕の周りでこいつすげーと思ったのはいままでで10人くらいだと思います。いままで20年ちょっと(2017年現在)生きてますけど、それだけしかいなかったです。それでも比較的僕の周りには多かった方だと思う。
なにが言いたいかっていうと、大学の話をしたいわけではなくて、
明確に意思を持って行動する人は少ないよね!
ってこと。僕自身もマブラヴをやって、意思を持つことの大切さ初めて考えさせられた。いままでの自分は状況に流されていただけだなって。
状況に流されているだけの人間が、意思を持った人間や元からできる人を超えて上に上がれる訳がない
って感じた。
では続き
さっきまでは、意思を持つことはそもそも大変。そして目標を果たすためには意思が必要ということでした。タケルもオルタネイティブ編の最初で意思を持った状態になった。つまり(引用にもあったように)アンリミテッド編まではタケルが意思を持つための物語で、オルタネイティブ編は意思を持って実際に世界を変える物語ということになる。
さらに言えば、僕には意思を持っていても
それだけでは世界(外部の状況)は変えられないんだよね
って言われているように感じた。実際にクーデター編でタケルの目標である「BETAを倒して人類を救う」って考え方が揺らいじゃっているし。明確に人類を救いたいと心の底から思っているのならば、悠陽にトリアゾラムを打っているはずだし。その後に冥夜や殿下に感化されてクーデター編を乗り切って新しい目標を持ったと思ったら、すぐに横浜基地襲撃でBETAにボロボロにされ、まりもちゃんがあーなってしまって、タケルが「人類を救う」ことをあきらめちゃう。それでエクストラ世界に帰っちゃう。
オルタの中で伊隅大尉も言ってるけど、人類を救うといったようなざっくりした目標では人は戦えないって言ってる。これはただMARCHに行きたいって言っている高校生がそれだけでは合格しないような状況と同じだなぁ。大学へ行きたいっていうざっくりした目標だけでは勉強できないってこと。
ちょうどクーデター編は意思のぶつかり合いを示しているんじゃないかと思ったんですよね。つまりアメリカ、斯衛、反乱軍、国連のそれぞれの正しさのぶつかり合いってことです。その中でタケルは人類を救うためにと思っていたけれども、そのための行動を取ることができなかった。
本当にクーデターがくだらないと思っていたならば、すぐにトリアゾラムを打てたはず。それができなかったのは、そこまでの手を下せるほどの覚悟がなかったってことになる。覚悟がないからこそ、本当に意思を持った人たち(ウォーケン少佐や月読さんや狭霧大尉。あと夕呼先生)に翻弄される。意思がなければ明確な目的を持った人に流されるだけってことを表しているのではないか? と納得。
のちのタケルは自分が壊したエクストラ世界、その中の純夏や冥夜、まりもちゃん、を助け、そして自分自身をループから解放するためにオルタ世界を救うという具体的な目標ができた。その後に純夏のためという個人的で明確な目標ができたからこそ再び前に進むことがができた。大学に受かりたいのならいきたいってだけではなく、そのための個人的な目標を掲げる=意思を持つ必要があるってこと。
意思を持つからこそ世界を変えることができる。意思がなければ状況に流されるだけだと今は思ってる。世の中には自分以外に明確な意思を持っている人がたくさんいて、そして無意識に自分より強い力を出せる人がいる。そんな中で、何も意識していない自分が勝てるわけがないよね!!
意思を持ってこそ、世界という大きな状況に関与できる「可能性」が出てくる。けれども、意思を持ってさらに個人的な意思を持ったからといって簡単にいかないからな!!と、さらに突っ込んでくるのがさすがこの物語。だいたい佐渡島ハイヴ攻略戦から桜花作戦までのこと。本当にエグいぜage… どこまでユーザーをどん底に叩き落とす気なのと(笑)。ここからが地獄の始まり。
人類を救う具体的な目標を決めたタケルちゃんに、その後伊隅大尉をBETAがうじゃうじゃいるところに置き去りにして、速瀬中尉を見捨て(?)て、最後に冥夜を自分の手で殺す。最後の冥夜の部分はすごい感動した。あそこがタケルの成長が出ていた。クーデター編で悠陽に下せなかった手を、冥夜を殺すことによって成長を表している。けどタケルもそれほど明確に成長していないことも示されている。桜花作戦で難しいとわかっていても誰も死なないようにしようとしているし、冥夜打つ前にものすごく葛藤してるし、何より電磁投射法を打つ前に手が震えている。
覚悟はしても、内面ががらりと変わるわけではない
どんなに覚悟を決めてもその人の本質がそうそう変わるわけではないって言ってるのかな。だけど、目的という明確な意思があるからこそギリギリの状況での行動でちゃんと一歩を踏み出すことができる。
本当なら自分の体験だけではなく、他の作品や実際の現実の例をあげて比較したいのだけど、まぁいいか。なのでまた自分の例を出すと、僕自身も大学に入って自分のやりたいことを見つけようとしたけどそう簡単に見つからなかったんですよね。タケルでいうと高校生の僕は意思は持っているけど状況に流されているアンリミテッド編の状態(笑)だったかなー。浪人後の僕はオルタでいえばタケルがエクストラ編に逃げて、まりもちゃんが死んだりしてオルタ世界に帰ってきたような状態だったと思う。(受験という状況という世界にボコボコにされたのでね…)
そして就活で困らないように自分のこれから進むための指針を探そうとしたが、そう簡単に前に進めなかったわ。けど探し続けることが大切なのだと思った。だってそうしないと絶対に就活のときに大変になることが大学受験の過程からわかっていたから。これが僕の個人的な理由だったと思う。これは完全にマブラヴの影響で、後はこの動画の影響かな。スティーブジョブズの有名な演説。なんかだいたい同じこと言ってる。
結果としてある分野に落ち着いて、就活もその路線でなんとか頑張って今就職しているわけだが、今も自分のゴールにいるとは思っていない。改めてやりたいこと、やり遂げたいこと、そしてその個人的な目標があるものを探し、決めたゴールをこれからも目指していきたいと思っている。目的という意思を元に世界という状況にこれからも関与していきたいと考えているよ!
なんか最後の方は自分の人生の反省になっちゃったけど、まぁそれくらい影響力がでかい作品ってこと。多分ここまで読んでる人はマブラヴをプレイ済みの人だと思うから言ってみるけど、一人一人に絶対なんかしらのマブラヴから受け取ったものがあるのではないかと。あくまで今のは僕の例で、それぞれの人が作品から受け取ったものを大切にしていくのがベスト。
12:00 ~ 22:00 のあたりである一般人の方がマブラヴの想いを語っている。話し方は拙いけど、想いは伝わってくる。こういう人もいるってことですね。
最後に僕なんかよりもとっても長くて、深い感想を書いている人がいるのでそのリンクを貼っておきます。たぶん僕の記事にたどり着いたなら、先にこの人の記事を読んでいるんじゃないのかな?
旧館:物語三昧~できればより深く物語を楽しむために~
物語三昧~できればより深く物語を楽しむために~ (今はこっちで書いている)
マブラヴの感想の中でもこの人の意見は特に考えさせられた。ただの感想ではなくほかの作品や現実にリンクさせて文章を展開させている。この部分がただの感想記事とは明確に違うところ。僕もこの人の記事の文章自体にもかなり影響された。ここまで物語を深く考察できるのかと素直に尊敬と感動を覚えた。正直に言えば、ちょっと難しくて理解できない部分もいくつかあるけどね。
とりあえずとてもマブラヴを愛していることは全力で伝わった。もし読んでいなければ、一度読むことをお勧めします。とてつもなく長いけど。もちろんプレイした後に読むこと。文章の書き方的には考察のやり方とか参考にしたい。
また4Gamer'sの記事もオススメです。原作者の吉宗鋼紀さんのインタビュー記事が載っています。ネタバレ満載です。全部で3つある。これも長い(笑) これでも短くしたらしい。
また興味がある人はYouTubeの「吉宗鋼紀のひとりオルタ」という動画も見るといいかもしれない。吉宗さんがマブラヴの解説をしてくれます。けど実際は半分以上解説せずに全く違う話をしている。だけど急にマブラヴの話をしたりマジメな話をしだすので悠長に構えていられない。シリーズものでたくさんあるので、とりあえず1つ目だけ載せてくから、あとは探して見てね。
この動画はニコニコ生放送の内容をYouTubeに掲載したものです。第一回はあったのですが、いろいろNGすぎてYouTubeには載せられなかったみたい。
またほかのマブラヴ作品が気になる時は、この記事を読んでから次の関連作品に手を出すといい。
ただし、公式はかなり内容が古い。age仕事しろ(笑)
さすがにそろそろ更新しようよ…
って3年くらいずっと思っている。
マブラヴのLINEスタンプもある。公式はほとんど宣伝してないけどね。
マブラヴの今後に期待しつつ次回作の発売を待ちたい。
それではー