物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

約束のネバーランド(2016 ~ 2017) 感想 「デスノートを想起させる高度な心理戦とキャラクターの葛藤を描く」

約束のネバーランド 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 
評価:★★★★☆(星4つ)

 

2017/6/23 3巻読了時までの感想です。
 
すごい面白い。デスノートの雰囲気を思い出しました。個人的には完結した時に一気に読みたくなる本ですね。まだ3巻しか出てないのが惜しい…ホントに。
 
頭脳戦は本当にデスノートみたいな感じです。ある意味天才の年長者3人vsママの心理戦が本当に読んでてワクワクしました。
 
 
世界観的には鉄血のオルフェンズが思い出されました。もうとにかく、現状でできることをやらなければ死ぬしかないという状況、孤児院のみんなは家族同然のつながり、時々見せるエマの狂気性。久しぶりに漫画の世界観に没頭できた作品でした。
 
 
現状では年長者3人vsママの心理戦が中心だけど、要所要所でそれぞれのキャラクターの成長が描かれているところも良かった。1巻の時点では心理戦が中心だったけど、2巻以降だとそれぞれのキャラクターの成長が光っている。回を重ねるごとに以前に起こした行動の結果を生かして進んでいる姿がいい。
 
 
ママに出し抜かれた経験をもとに次は失敗しないように再起するノーマンや、エマも全員で脱出するって目標を諦めそうになるんだけど、1巻で鬼に食われたウサギの女の子のことを思い出して自分の意思を確認するところとかいいですね。失敗や過去の経験を次に活かす様子がたまらなかったです。
 
 
この物語はデスゲームものに当てはまると思うけど、個人的デスゲームものってにはあまり好きじゃないです。最近のジャンププラスにデスゲーム的な作品がよくでてくるなー。とりあえずグロテスクなデスゲームにすればインパクトあるからかなー。
 
 
つまらないと感じる理由としては、とりあえずデスゲームものにすることで主人公が行動せざるおえない状況に置かれる。そうするとキャラクターが行動を起こす動機がただ「死にたくないから」という一点に収束してしまいがちになってしまうからです。いつまでたっても主人公が「死にたくない」という理由の元でお話を展開させているのはあまり好きではない。だってそれだと野生の動物と一緒じゃん。見てて面白くない。その「死にたくない」という行動原理以外に、何か主人公の意思などが垣間見えると面白い作品になってくると僕は面白いと感じる。
 
 
この作品ではもちろん「死にたくない」っていうのはあるんだけど、それ以上に「全員で生き残る」というエマの意思が強調されているから、ただのデスゲームには見えなくなっている。そして全員で生き残ってみんなが幸せになれる場所を目指すっていう理想がとても綺麗でいいなと感じた。やるしかないからやるんだけど、その上できちんと理想を持って行動している姿がかっこいい。
 
 
いや、鉄血のオルフェンズみたいだなーって既視感があった。けど主人公たちって本当の意味でのオルフェンズなんだよね。一人でニヤニヤした。
(オルフェンズ = Orphansは日本語で孤児たち、という意味)
 
 
僕の予想では、今後の展開的に仲間の誰かが死ぬことになるんでしょうね…。ワクワクする反面ちょっと悲しい気分です。その際の葛藤とかキャラクターの決断とかどう描かれるんだろう。そう考えるととっても楽しみです。
 
そんなわけで、鉄血のデスノートこと約束のネバーランドとっても面白かったです。