物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

冴えない彼女の育てかた 2巻 (2012) 「スッキリとしたストーリーとたまに出る業界の闇」

冴えない彼女の育てかた 2 (富士見ファンタジア文庫)

評価:★★★☆☆(星3.5つ)
 
 
つまらなくはないんだけど、特に新しいところもないかな。1巻は話の流れを構成していたけど、2巻はそのまんまって感じがした。
 
 

 

 
 

前半はキャラがイチャつき、後半でメインストーリー進行

今回の巻は、サークルができてギャルゲーのプロットが完成するまでの流れだった。加藤がリア充と一緒にいたり、安芸くんが風邪ひいたりする。視聴覚室とかでもワイワイしている。そんな中で先輩が壮大な世界観のプロットを作成した。だけどなんかしっくりこなかった安芸くん。安芸くんのはっきりしない態度を英梨々に怒られる。モヤモヤの解消のために加藤とショッピングに行く。ショッピングという何気無い日常が楽しく思った安芸くん。その経験からストーリーの中に何気無い日常を取り戻す展開を求める。詩羽先輩に相談してストーリーに組み込むことになった。
 
 
 
そんな感じですかね。前半はメンバーが楽しくイチャイチャしている。後半に詩羽先輩の過去の出来事が明かされつつ、ギャルゲーが少しずつ進んでいく。そんな感じでした。
 
 
 
この時点で安芸くんの行動が正しいかはわからない。やったことって超展開もいいけど、日常エンドも欲しいよね。ないとやっぱり寂しいし、的な感じなんでしょうか。
 
 
 
特にアニメと変わりがないためすらっと読み終わっちゃいました。
 
 
 
 
 
 
 

小説の文体が軽い(いい意味で)

前回のところにも書いたけど、この作品のアニメは本当によくできている。小説の流れをうまーくアニメとして叩き込んでいる。けれども、内容をうまーく叩き込みすぎて小説が退屈になってしまっている。冴えかのは文章の書き方が主人公の安芸くんの心情を通して語っているのでとても読みやすい。
 
 
SAOとか魔法科高校の劣等性、そして僕の一押しのシュヴァルツェスマーケンなどと比べるととっても文体が軽い。だからスッキリ読める。けれども、スッキリ読めすぎて1巻あたりの内容が薄いんですよね。最初に書いたけど、アニメと既視感しかない。先に小説を読んでいた人が羨ましい。先に小説を読んでいた人は作品の出来に感動したんじゃないか。まあ僕はアニメからなのでわからないけど。
 
 
 
ノイタミナにしてはかなり王道のラブコメ路線でいってますよね。ノイタミナってもっと敷居が高そうな内容のアニメをやっているイメージだったんですけど。サイコパスとかあの花とかギルティクラウンとか。
 
 
 
なんども言いますが、
 
 
トーリーはとてもスッキリしていて読みやすい。
 
 
 
・・・なんだけど、このラノベ、急にマジなテンションですごい共感できるものが出て
くる。
 
うん、面白いです。
 
さすが、名作と呼ばれるエロゲーを作った人です。
 
 
 
 
 
 
 

2つの顔を持つこと

英梨々も詩羽先輩も2つの顔を持っている。自分の表と裏の顔を使い分けている。表では相手が求めるままを演じて、裏では自分の好きなことをやっている。3巻で出てくると思うが、英梨々に関しては昔オタクをバカにされたことが原因で2つの顔を持つようになった。
 
 
同じくある意味伝説のエロゲーであるマブラヴの原作者のキーコーこと吉宗鋼紀さんもよく「仕事とプライベートの人格を使い分けろ」って言っている。ニコ生見ると1月に1回は言っているんじゃないかな。プライベートの人格で仕事をするから、怒られたときに自分を否定されたと思って傷つく。仕事の人格を別に持っていれば、それは自分じゃないから客観的に受け止められる。そうじゃなければ仕事上の立場として求められるキャラクターを演じられないそうだ。そりゃ自分が悪くないのに謝るのってなかなかパワーがいる。
 
 

http://livedoor.blogimg.jp/jigokuno_misawa/imgs/b/0/b0ba0f2a.gif

ある意味、2つの人格ってこう言うことなんでしょうね。うまく割り切るという感じでしょうか。
 
 
 
そんなことを最近だと須藤りりかさんの例を挙げて説明していた。あまり書くとめんどくさそうなので、詳しくは書きません。言いたいことは「プライベートの人格を仕事に持ってきちゃったよね」ってことです。あとは察して下さい。
 
 
 
この章はこれで締めましょう。
 
倫「そりゃそうだ。だって、スルーされるってなんか嫌だろ? せっかく関わり合いになった相手なら、ちゃんと認められたくならないか?」
 
 
 
そういうのは、ホームでやればいいのよ
 

 

 
英梨々の言葉が身にしみた。
 
 
 
 
 
 
 

ラノベは1巻の売り上げから重要

 
 だぁ〜ってねぇ? 1巻って出た当時はまるっきり重版かかる気配なかったのよ? 編集長もこりゃ3巻で打ち切りだなって。私、その頃もう5巻の最終話までのプロット全部もらっちゃってたから気の毒で言い出せなくて

 

 

どこかの勘違い作家が『本当に面白い作品なら宣伝しなくてもいつか必ず売れる』とか世迷言ほざくことがよくあるけど、ぶっちゃけそんな遅くに評判になっても、その頃にはとっくに打ち切られているから、こっちとしてははメディアミックスとかの旨味もなくて扱いに困るのよね。
 
 
編集者の本音が出ているのか・・・。まあ最初の1巻から売れてくれなきゃ困るってことですね。誰も人気ないのに続けるわけないってことか。人気商売で有名なのはジャンプのアンケートとかだけど、ジャンプが有名なだけでやっていることはどこも同じなんですね。
 
 
「恋するメトロノーム」と同様に、途中から人気になるみたいな展開と同じことをやってのけた作品がある。「終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?」という作品です。最近アニメ化もしてました。知ってますか?
 

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (角川スニーカー文庫)

 
 
公式サイト
 
「終末なにしてますか」も3巻打ち切りコースだったそうだ。けどこの作品は3巻あたりから徐々に売れ始めて、打ち切りを回避したそうだ。そーーんな話もあるが、当然このような復活劇は少数派。消えた作品の方が圧倒的に多数だろう。
 
 
僕もいい作品を見つけたら、積極的に意見を出していきたいです。
 
まあ僕の感想なんてたかだかしれてますけど。
 
それでもなにかしらの力になれたらなと思ってやりたいです。
 
 
 
 
 
 

最後に

最後の「参考資料」がけっこういいですね。実際に作者がギャルゲーの設定やプロットを考えるときに使っているものみたいですね。僕の妄想のお話もこれでまとめて見たくなりました。
 
 
 
作者のラノベを始めたきっかけもすごい尊敬します。
 
さて、もともとエロゲー業界の引きこもりだった僕が今回ラノベを出させていただくにあたって、実は一つ、純粋に本を書く以外の目的がありました。
 
 
それは、出版業界の知識を得ることです。
 
 
ゲームを作っているだけではわからない出版業界の様々な常識、非常識に触れて、相殺活動の糧にするだけじゃなく飲み会のネタしても活用しようというとてつもなく腐った・・・・・・いや前向きな意欲に満ちてこの世界の門を叩いたわけです。

 

 
本当に意欲があるというか、そう言う姿勢は素直に尊敬します。ますます頑張って欲しいです。
 
 
3巻も気が向いたら書いたいと思います。
まだまだ内容同じところですし。
 
 
それではー