物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

四月は君の嘘 アニメ (2014) 感想 「お互いがお互いに影響をしあって成長する」

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評価:★★★★★(星5つ)
 
 
こりゃすごいですね。久しぶりに感動しました。
 
 
有馬くんがピアノが弾けるようになる葛藤、お互いがお互いを意識しあって向上しあう姿、かをりのヒロイン力がよかったです。
 
 
 
1日6話ずつ見ようかと思ったら2日で22話見ちゃいました。もっと早く見ればよかったですね。
 
 

 

 

自意識との葛藤

特に1クール目は有馬くんの葛藤が半端ない。エヴァンゲリオンのシンジくんばりに葛藤していた。自分はどうしたいのか。今の自分はどうなのか。自分のトラウマと格闘しながら自分と戦っていた。
 
 
 
有馬くんにとってピアノは母親との繋がりを示すもので、母親の死とともにピアノの音が聞こえなくなってピアノを弾かなくなる。それをかをりとの出会いによって再び舞台に上がって、ピアノが聞かれることの喜びを知り、母親のためではなくかをりのために引くことを決める。
 
 
 
親からの独立って意味も含まれているのかな。子供の頃に親に逆らうとか無理。僕も親も間違う生き物なんだと気づいたのは高校生になってからだった。有馬くんは中学生なんだから親の影響を受けるのは悪いことじゃないんだけど、自意識を持つためには親の影響から離れて自分の頭で考えるようになるのは必要なこと。かをりのために弾くと決めた時、母親の影を見なくなった瞬間に有馬くんは自分というものを獲得したんじゃないかと思っていた。
 
 
 
けどかをりのために弾くって決めた時点で、かをりに依存していることになるから、そこをどう乗り越えるのかなーって考えていた。そしたら案の定かをりが死にかかったら、葛藤モードにはいって少し笑った。そこはかをりが残してくれた、その過程で手に入れたものからみんなのために弾くことで乗り越える。母親のため、かをりのためを経てみんなのために弾くようになった。
 
 
 
最後のかをりとのセッションの部分は少しやばかったですね。フィクションなんだけど、もうこれで終わりなんだって状況があって素晴らしかったです。
 
 
 
成長の最初のきっかけはかをりだけど、最終的には自分が母親からの過去から抜け出て、今度は有馬くん自身がかをりの精神的な支えになろうとした。そして改めて成長したのはみんなの力があったからなんだ。そんなことがこの作品の結論だと僕は受け取りました。
 
 
 
 
 

互いの影響を受けながら成長する

これもこの作品の魅力。もちろん有馬くんがかをりや椿、渡、相座くん、井川さんに影響する。影響されるだけじゃなくて、互いに影響し合う。影響しあって、互いに成長の糧にする。その連鎖が22話を通して描かれていた。
 
 
 
これは現実世界でも本当のこと。僕もプログラミングを勉強する時にも、他のエンジニアの方の姿を見て「あいつみたいになりたい」と思っている。多分これはどの分野でもなりたつ。実際他の作品でもこの関係は描写されている。この間見たものでは、響けユーフォニアムで主人公の黄前ちゃんがトランペットの天才の麗奈を見て「特別」になりたいと思う。有名どころではワンピースのルフィもシャンクスを見て海賊王になりたいと思う。誰かを見て、自分もそうなりたいと思えるのは人間として根源的な成長の動機じゃないですかね。
 

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作者も述べているように、何かに一生懸命になっている姿は美しい。これがしたい!っていうものを持つことは大切なこと。これが好き!でもあの人みたいになりたい!でもなんでもいいから、自分の中での核を見つけることが大事だなぁ。そうじゃないと、この物語の人みたいに何かに熱中することができなくて、スタート地点にも立てない。
 
 
 
これはなかなかいいインタビューでした。
 
 
かをりの行動力もいい。僕の理想のヒロインに一気に食い込んできました。引っ張ってくれる人ってすごくありがたい。自分一人じゃできないこともできるようになるから。容姿は当たり前としても性格的には最高のヒロインでした。
 
 
 
 
 

チャーリーブラウンの名言力

いつまでも君のそばにいれるとは限らないんだよ。
 
 
ちょっとピーナッツ読みたくなりましたね。子供向けなのに結構ぐさっとくること言ってますね。
 
 
 
引用ってかっこいい。さらっとできるとかっこいい。あさのあつこのNo6にも章の冒頭にシェイクスピアの作品からの引用が毎回あった。よくわからなかったけど、その章で起こる出来事に関連したものがマクベスとか有名どころから引用されていた。教養とか知識の幅とか感じられていいですね。やっぱりフィクションであっても人の葛藤や想いというのはどの時代もかわらない。
 

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最後に

改めて漫画版でも読んで見たいです。それくらいよかったです。ピアノの世界にも全く興味なかったけど、バッハとかもこれをきっかけに聞いてみたい。
 
 
個人の成長と周りの影響って意味では最高のアニメでした。メインキャラの絶賛シーンが多すぎて、そこだけはちょっと飽きましたけどね。
 
 
なにはともあれ、全体的には没頭して一気に見ることができました。
 
 
それではー