東京喰種 (2011~2014) 感想 「両者の正義・主人公の葛藤が強烈」
評価:★★★★☆(星4.5つ)
東京喰種読み直しました。
喰種と人間の戦いももちろんいいけれども、それ以上にキャラクター一人一人に信念や思いがそこにあって、その思いをもとに戦っている様子が良いです。東京喰種は世界観的には人間と喰種が最終的にどういう落とし所に落ち着くかがポイント。喰種と人間の対立の中で、喰種側の思いと人間側の思いがキャラクターごとの背景によって描かれている。そこから考えると、同じ物事であっても見方が変わればそれぞれ捉え方が異なってしまうことが伝わってくる。
種族間の対立・この戦いをどう着地させるか
人間にとって喰種は人間を食べる存在だから、喰種は悪と捉えてしまうし、それはしょうがない。だけど喰種側にとってみれば、生きていく上でしょうがない行動を人間側に取り締まられている状況となってしまっている。喰種が劣勢に立っている理由は喰種側がマイノリティであるせいだと思うけど。人間側がCCG、喰種側がアオギリ、両者の中間があんていくとそこらへんの立場はわかりやすい。金木くんは人間と喰種の中間の存在としてストーリーを動かす。
喰種と人間の対立は東京喰種だけでは完結していなくて、続編であるre:東京喰種に受け継がれている。5巻くらいまで読んで完結を待っているので僕もまだ詳しくは知らないけど。第1期完って感じだった。
東京喰種では問題を洗い出して、盛り上がったところで終わった印象があった。別にマイナスな印象はないです。亜門さんと金木くんの最終決戦とかものすごいアツかったし。
種族対決という意味では武装錬金とか思い出した。人間を食べるホムンクルスと人間の対立を描く作品と、コンセプトのみは類似している。僕は小学生の時に読んだのでその時はすごく熱中していたのだが、成長して読むと、なんで100個しかない武器が日本に集中してるんだ、とか、ネーミングがダサくないか、とか色々引っかかってしまった。
つまり少年漫画ということもあり、若干設定が甘い面もあった。まあジャンプに東京喰種を持っていっても雰囲気が合わないとは思うので、ジャンプ的に言えば武装錬金の設定は正解。小学生に東京喰種は辛いよね。そんな感じで武装錬金と比較すると東京喰種では種族間の対立をとても丁寧に描いている。なので世界がそこにある感覚がかなりあった。ホモ・サピエンスも他のホモ属を滅ぼして発達したという説もあるくらいだから、現代に多種族が現れたらこんな感じの対立になるのかな。
金木くんの葛藤
世界観の次はやはり金木くんの葛藤でしょう。人間と喰種の中間の立場に置かれた人の葛藤がものすごい。自分の人間の記憶やヒナミちゃんの件や月山さんの件で喰種の立場を知っていき、アオギリに囚われて拷問されることで、自分の力のなさに苦しみ、自分から身近な人を守るために動き出す。
その後は自分の敵を倒すことだけを考えて戦っていく。そしてアオギリに店長が関わっていると知って自分の敵がわからなくなる。四方さんやトーカちゃんによってあんていくに戻ると決めた時に、あんていくが襲われる。金木くんが助けにいくも、亜門さんと戦って重症を負って追跡不可能になる。
こう整理すると、金木くんの問題は何も解決していない。葛藤の真っ最中という感じ。状況を変えるためには力が必要だとわかって力をつけて、敵を倒すだけじゃダメだと気づいたところで止まっている。東京喰種だけでも金木くんの葛藤が詰まっていて、その時の心情に従った行動が取られているので僕はかなり好きです。金木くんの葛藤からその状況に置かれてしまった人間として読み進めることができた。
やっぱりアオギリに囚われた時に金木くんが闇落ちするのがいい。状況に流されるだけだった立場から自分から状況を動かす側に移るってところが好きです。自分の意思を貫くっていうのは見てて気持ちいいです。前半の喰種と人間としての葛藤があったからこそ、後半の苦しみながらも必死に戦っていく様子が鈍く輝いている。
最後に
いろんな立場からの喰種と人間の考え方、圧倒的な戦闘シーン、そして金木くんの人間と喰種としての葛藤。全てが絡まって東京喰種の作品の魅力だと思います。
続きのre:が気になります。いつ完結するんだろ。
それではー
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