物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

完全教祖マニュアル(2009) 感想 「教祖の成り方を通して宗教を知る」

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

評価: ★★★★★ (星5つ)
       
教祖になるための本という体裁をとっている本。だけどちゃんと三大宗教をはじめとした宗教の歴史を踏まえつつ、教祖になるための技を面白おかしく説明している。それだけではなく、宗教を一つの組織として捉えて説明している所がわかりやすい。
 
本の中では宗教という組織を作りたい人がいたとして、その組織を立ち上げるにはどういうことが必要か? を順に説明していく。その中で今成功した組織である三大宗教を例に出しながら、やるべきことを提示している。組織を作っていく過程を辿ることで、宗教と言う組織がどう言うものかを説明している。
 
宗教の歴史と組織としての宗教、この2点が学べる良本でした。
 

 

# 神というシステム

本では冒頭から神と言うのは物事を納得させるための理由に過ぎず、大部分は人や集団をどのようにコントロールしていくか? と言う視点に立っている。そもそもこの教祖の成り方を説明しているという体裁をとっている作者自体が終始「神などどうでもいいわ」というスタンスだった。
 
宗教で大切なことは、それが正しいかどうかではなく、人をハッピーにできるかどうかです。神もこれと同じで「いる」と仮定した場合に、そこからどんな素晴らしいことを得られるか。問題はそこなのです。
 
会社の目的はお金を稼ぐこと。同じように宗教にも目的がありそれは「人々をハッピーにさせること」だそうだ。人々をハッピーにすると言う軸を保ちながら、いかに甘い汁をすすれるか? と言う視点で説明しているのが面白かった。けれども甘い汁をすすることは悪いことでもなんでもなく、神という概念で人々をハッピーにできているのなら何も悪いことはないだろう、ということらしい。
  
  • 貧乏な人がいたら、神という新たな価値観で人を幸せにする。それで心の負担が取り除かれるなら神がいるかいないかは関係ない。
  • 神が見ていると信じることで老人に席を譲れる理由が生まれるなら、それは神とか関係なく素晴らしいこと。
  • 免罪符を買ってその人の気が休まるのなら、宗教にも意味がある。
 
おそらく本当に言いたいことは、宗教で甘い汁をすするとかそう言うことじゃなくて、神がいることで結果的に人々が幸せになるのなら、神が実在するかは関係ないということなんじゃないか。
 
そういえばグリザイアの迷宮か楽園でも似たようなことを言っていた。
神様なんて、結局のところは都合の良い時にだけ存在すれば良いと言うのが普通よね。神様を信じることで、個人の能力を超えた先にある"何か"を引き出す助けになるのなら、信仰にも深い意味がある。
 
いつだって神様がみてくださっている。だから頑張れる。そして精一杯頑張った人間というのは、たとえその結果がどうであれ、後悔はしないものよ。
 
それが神様というシステム
この作者が話していたのも、神様を「システム」と捉えている点は同じなんだろうな。
 

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# 宗教というコミュニティ

宗教も結局は人のコミュニティの一つにすぎない。作者も最後に行っていたが「世界をどう解釈したか」という分類で分かれている人の集団ということ。キリスト教イスラム教は神という概念を元に世界を認識している人たち。無宗教で科学的な考えをする人は文字通り科学を元に世界を認識している人たちと言うことになる。
 
僕はアニメやゲームや漫画をよく見ますが、それでもアニメキャラの誕生日を祝う人たちの気持ちが全く理解できない。Twitterで〇〇誕生祭という言葉を見るたびに、そう言う人種がこんなにいるのかと言う事実に不思議な気持ちでいっぱいになります。そう考えればキリスト教イスラム教の人たちもジャンルが違うだけで、同じようなものなのでしょうね。
 
結局神であろうが、仏であろうが、キャラクターの誕生日を祝う集団であろうが、そこに人が集まって、コミュニティが形成されて、情報を交換し合いながら、困ったことがあったら協力できて、話題を共有してハッピーに慣れる人の繋がりがあるのなら、別に宗教もキャラクターの誕生日もそこまで悪いものでもないのかなと。
 
宗教に限らず、考えが異なる人がいるのは当たり前なので、世界の解釈が違うだけの集団だと言う認識がもらえただけでもこの本は有用でした。
 

# 宗教の歴史

いろいろおもしろおかしい部分はあったけど、箇条書みたいな感じになりそうだ。
この本自体が三大宗教をはじめとした宗教たちが辿ってきた歴史を元に「こういうことをした方が良いよ」という流れだった。なので内容全部が歴史といえば歴史だったのかもしれない。
  • 布教するなら弱い人からやれ。昔から弱者は宗教にハマりやすいのはわかっているんだ。イエスもそうだったし。
  • 他教をこき下ろせ。昔の宗教もみんなやっていたから
  • 免罪符を売ろう。ただ、キリスト教の時は教義に反していたからルターに突っ込まれたので、反省して売っても良い教義をつくってどんどんやろうぜ。
などなど。そんな感じで他にもいっぱいあった。
あまりかけていないのでもう一度読んだら追記する。
 
 

# まとめ

宗教の簡単な歴史と神という概念を考えさせられる良本でした。筆者が教祖の成りかたを教えるというスタンスで書かれているがものすごく面白いので、とても楽しみながら読めた。さすがちくま文庫の中では飛び抜けてレビューがついている本です。
 
kindleのセールの時に100円で買ったので、ものすごくお得な買い物だった。間違いなく他の人にもおすすめできる一冊です。
 
完全教祖マニュアル (ちくま新書)

完全教祖マニュアル (ちくま新書)