物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

シン・エヴァンゲリオン 感想 「エヴァの物語の終結点」

 

 

One Last Kiss (通常盤) (特典なし)

 

評価: ★★★★★ (星5つ以上)

 

間違いなく傑作。完結する前からすごい作品だったけど、今回で一区切りついて改めて傑作となった。忘れないうちに感想をまとめておく。タイトルは色々考えたけど、ググった時点でネタバレが出て欲しくないので超無難なものにした。

 

自分の背景として序破Qは当然見ています。公開前の年末にもう一回見直した。TVアニメ版+旧劇場版は視聴済み。でもこちらはかなり前なので結構うろ覚え状態です。

 

以下ネタバレありの感想。

 


シンジ君が大人になるための物語

まだ1回しか見ていないのにこういうことは早計かもしれないけど、今回のシン・エヴァンゲリオンを見ることでようやくエヴァンゲリオンがどんな物語だかわかった気がした。これはシンジ君が少年から大人になるための成長の物語だったのかもしれない。

 

家庭環境のせいで内向きになってしまった少年がエヴァをきっかけに世界が開いていき、最後に「大人」になれるかどうかという物語。ラスボスが父親であるゲンドウで、ゲンドウをなんとかできるのはシンジ君しかいない。シンジ君が成長しない限りゲンドウを止められないためTVアニメ版の結末になってしまう。シンジ君が救われないと人類補完計画を進めるゲンドウを止められないからこそ、シンジ君が鍵になる。シンジ君が大人になれなかった世界がアニメ版で、シンジ君が無事成長することができた世界が劇場版ということになる。

 

シンを見ることでTVアニメ+旧劇場版がバッドエンドであることがわかるし、それを回避する方法がシンジ君自身が成長することであることがわかる。シンジ君の心こそがこの物語の重要な要因だからこそ、あの訳のわからない頭がどうにかなってしまったのかと思ってしまうあのTVアニメ版の25話と26話があったのだと理解できた。

 

また今回の劇中の「イマジナリーではなくリアリティで救われた」というカヲル君のセリフが忘れられない。確かにアニメ版のあの終わりかたはイマジナリーとしか言えない。 TVアニメ版の回答が20年以上後に説明されるのはなんというか、すごいとしか言えない。人の成長を描くためにはこんなに時間がかかるものなのかとちょっと感動してしまった。

 

つまり今まで自分たちはバットエンド(=TVアニメ版, 旧劇場版)と完成していない物語(序破Q)を見せられていたということか。Qはシンを見て改めて世界観がわかるので、酷評されてしまうのも当然かもしれない。それまでのQやTVアニメ版や旧劇場版はただの前置きであり、シンがあることで今までの物語が意味を持つようになるのだから。

 

また一点モヤっとする点としては、シンジくんがどうやって成長したかがまだはっきり理解できていない。村でのシーンがシンジくんの成長の重要な要素であるのはわかる。村での経験があったからこそシンジ君が成長して、最終的にハッピーエンドを迎えることができた。だけど明確にどう成長したかは理解が曖昧なままになっている。村での出来事の中で、のちにアスカが言っていた「自分の手を汚す覚悟を持つ」「自分のやったことに責任を持つ」(言い回しは違うけど、だいたいそんな感じだったはず)ということを理解したのはどこらへんだったのだろうか。

 

トウジやケンジが優しいのはなんとなくわかる。28才が14才を見たらそういう対応をするだろうし、事情を知っていて、かつ知り合いであればなおさらそうするだろう。「自分のやったことに責任を持つ」はトウジの会話が該当する気はするけど、明確にここというところはあまり覚えていない。ここら辺が重要であることはわかるのでもう一回ちゃんと確認してみたい。

 

あとシンジ君のことだからまた何かのきっかけで元に戻ってもおかしくない気はした。破とQで立ち直ったけど結局元に戻った前科が2回あるので、見ている最中はまたどこかで折れちゃうんじゃないかとハラハラしていた。今回は1%の当たりが出るまでガチャを引いた感じでたまたま成功を引き当ててハッピーエンドになった。1回当てればいいので問題ないとはいえ、もう一回あったら失敗する可能性が高い。



物語の確認したいポイント

エヴァンゲリヲンの背景を見直すためにも、序破Qはもちろんアニメ版も見直したい。そして可能なら全て見終わった後にもう一回劇場版を見たい。これだけ色々みたけど、いまだにわかっていないことが多すぎる。全て終わったからこそ改めて確認したくなったので、ポイントを書いておくことにする。

 

・シンジ君の心の変化の違い
何がきっかけで、成功と失敗が別れたのかを改めて確認したい。カヲル君の言動によればTVアニメ版では「イマジナリーで救われた」ことになる。つまりアニメ版では現実では救われていなかった、ということで合っているのかどうか。

 

・人類保管計画関連
こんなにエヴァを見ているのに、いまだによくわかっていない。

セカンドインパクト = 海の浄化
サードインパクト = 大地の浄化
フォースインパクト = 魂の浄化

人類保管計画にはxxインパクトが必要で、このxxインパクトを起こすためにエヴァとか使徒とかooの槍とか色々出てきて、サードインパクトを起こそうとしていたネルフに疑問をもって破の後にミサトさんたちがネルフから叛逆したけど、結局ゲンドウの手のひらの上でしたというのはわかった。

 

ネルフの人類保管計画とゲンドウの人類保管計画はほとんど一緒だけど、最後の部分だけ違うからゲンドウが私物化したのもわかった。だけど、どこが違うのかはよくわかっていない。そんな中でアディショナルインパクトとかアナザーインパクトとか別のも出てきてしまったから、ますます謎になった。

 

以降は1つ1つ文章を書くと長くなるので、箇条書きにする。なんとなくわかっているものもあるけど、一応リストに入れておきます。

  • ネルフの目的はなんだったか
  • ファーストインパクトはなんなのか
  • 使徒とは何者なのか
  • ゼーレとはなんなのか
  • なぜ使徒ネルフ本部に向かっているのか
  • xxの槍は一体どういうものなのか
  • 破のTV版との差
  • 破でのエヴァ3号機のシンジ君の選択(シーンを見直したい)
  • ネプカドネザルの鍵ってなんだったんだ
  • Qでゲンドウが槍を抜かせた理由
  • Qの予告にいた2+8号機はどこ行ったのか
  • シンのパリでの戦闘の目的(おそらく棒のデータをゲットする過程な気がする)
  • 2号機のビーストモードはなんだったのか
  • アナザーインパクトってなんだ
  • アディショナルインパクトってなんだ
  • ゴルなんとかってなんだ
  • シンの「メカになった使徒」はなんだったのか
  • 13号機のATフィールドはなんだったのか(説明していたけど、理解が追いつかなかった)
  • カヲル君の「託した」ってどういうことか。昔はシンジ君の立場がカヲル君で、役割を交代したという意味か?
  • なんで世界を書き換えられたのか
  • 綾波レイの確認(TV版で話があったけど忘れた)
  • 惣流と式波の違い
  • アニメ版ではサードインパクトで終わった気がするけどどこがサードインパクトだったのか
  • アニメ版では大地の浄化(サードインパクト)がないまま人類補完計画の最終段階に入ったのだろうか

 

逆にわかったこと

  • シンジ君の心が成長しないと、ゲンドウを止めることができないのでバットエンド(=旧劇場版)になってしまう。
  • ゲンドウの目的は人類保管計画でユイに会うこと(これはTV版でも言っていた。つまり目的は一貫している)
  • カヲル君はループっぽいことになっている
  • マリがゲンドウの背景をよく知っているのは、同じ研究室だったから。
  • アスカが眼帯をしていたのは、アスカはもう使徒と同じ状態で、それを抑える棒が目に入っているから
  • アスカとケンジは「できている」


推測になる部分

  • 梶さんが物語のキーマンとなる動きができているのは、カヲル君と仲良しだったためカヲル君からある程度の内容を聞いていたからではないか。
  • カヲル君がシンジ君全肯定マシンなのは自分がループっぽい状態なので、シンジ君が物語の鍵だと知っていたからか


上記を箇条書きしたあとにアディショナルインパクトとかを少しだけググったけど読んでもあまりわからなかった。解説はPixivあたりが詳しかったです。

 


・・・と色々書いたけど、人類保管計画もエヴァ使徒もあくまで舞台装置にすぎない。わからなくても問題ないし、極端な話そんなことはどうだっていい。


この物語では何が言いたかったか?と考えたら、もちろんゲンドウやミサトさんやアスカとかいろんな物語も当然あるけど大枠ではシンジ君の心の成長の物語だったのかなと。自分の中ではそういう落とし所になった。

 


まとめ

自分は人の成長を描く物語が好き。エヴァはなんとなくは好きだったけど、一番とかトップ3とかそういう風には思ってなかった。だけどこのシンエヴァンゲリヲンを見て、序破Q、そしてテレビ版、旧劇場版もすべて踏まえた上でこのラストがあるのだと思うととても感動した。こんなにも長い年月をかけて人の成長を描いたものは見たことがない。今までばらまいていた点が細くつながって線となる瞬間を久しぶりに味わえた。

 

なろう系とか転生とかチートとかそういう葛藤とは無縁な都合がいいような展開がある物語が受け入れられる世の中で、こんなにも主人公を苦しめて、特に好かれる性格でもない主人公の物語が評価されるのは、まだこういう物語が受け入れられる世界だったんだなと安心した。

 

マブラヴサイコパス、そしてエヴァンゲリオンが自分の傑作ラインナップに入った。

 

いい物語は心に染みる。心の強度が本当に上がる。


ありがとう。エヴァンゲリオン。本当に良い作品でした。

 



補足: 他の人の感想

上記の自分の感想を書いた後に、ネットで上がっているいろんな感想を読んだ。
さすがというか、読み応えのある感想がたくさんあった。

 

映画のストーリーは以下の感想がとてもよくまとめられていた。
ストーリーの細部まで丁寧に説明してあるので、よくここまでかけたなと思う。
この感想を書くために何回見直したんだろうか。絶対1回だけじゃないはず。

 

 

こちらはストーリーというより、キャラクターの心情を読み解いている。読み解く深さがとんでもなく深い。以前マブラヴの感想をみたときも思ったけど同じものを見ただけでこんなにも物語を感じる深さが違うのか。知識量、文章力、考え方の深さとか色々なレベルの違いを味わった。



 

他にもいっぱいあると思うので、あとは順次ググって読んでいく予定。