物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

劇場版SAO プログレッシブ 星なき夜のアリア 感想 「新規キャラクターを登場させつつも綺麗にまとめた良作品」

往け

 

SAOプログレッシブ1巻の映画化。テレビアニメ版の2話の延長であり、アスナ視点でアインクラッド第一層の物語を描き直した内容になっていた。

 

SAOは中学生の時にかなりハマった作品で、特にアニメ1期2話を見てSAOを読み始めるきっかけになった部分だった。当時1巻を買ってたった1巻でアインクラッド編が終わり、一番好きだったアニメ2話が1巻には描かれてなくてがっかりしたのは今でも覚えている。そんな経緯もありアインクラッド編が一番好きな自分としては、今回の映画はとても楽しみにしていた。

 

唯一の心配は新規キャラクターのミトの存在だった。というのもすでに完成されている物語に新規キャラクターを加える構成は本音を言えば好きではない。その後の物語にミトは一切登場しないはずなので、すでに結末まで語られている物語にわざわざ矛盾を作りかねないことはあまりやってほしくはない。とはいえそんなことを言ったらプログレッシブ自体が後付けなのだが。

 

個人的な感情論はここまでにしておき、映画に関する前情報は特に集めずに見に行った。結果的に今回の映画に関しては心配していた新規キャラクターの物語に関してはかなり良く、映画全体もとても満足がいく内容だった。

 

以下ネタバレありの感想。

 

原作のプログレッシブ1巻を読んだのは何年も前なのでうろ覚えでしかないけど、確か「星なき夜のアリア」はあくまでキリト視点の物語だったはず。それをミトという新規キャラクターを加えてアスナ視点の物語に切り替えていた。

 

またミトが挿入されたことによってアスナが強くなるまでの覚悟の過程が明確になったところがよかった。アニメ版だとこのまま黙って腐るより冒険して死んだ方がマシ、みたいな動機だったはずでそこまで細かく掘られてはいなかった気がする。だけど今回ミトが加わることによって、SAOド素人のアスナが成長するための土台を気づく過程が丁寧に描かれ、そして裏切られることによって、アニメ版2話の会議のシーンに自然につながるような構成だった。ミトという新規キャラクターを加えつつも、すでにある物語を壊さないようにする配慮が感じられたのがよかった。

 

今回の映画で一番好きなのはアスナのお風呂シーンを除けば、ミトとアスナウツボットに殺されそうになっているシーンだった。自分は物語の中で人間がギリギリまで追い込まれた結果、どういう行動を選択するのかといったそういうギリギリのシーンがとても好きだ。ある意味SAOでは最初のアインクラッド編がそのギリギリさが一番あるので、SAOの中でも特に好きなシリーズになっていた。なので今回の映画ではミトとアスナがある意味一番追い込まれたこのあたりのシーンが一番印象に残った。ミトに関してはあの死にそうなタイミングでアスナを見捨ててしまうのは普通の人間であれば何もおかしくはない。回復アイテムはない、仲間もいない、助けも呼べない、そんな状況なら逃げ出しちゃうのはある意味人間らしいというか、変に美化されてなかったのでとてもよかった。また死にかけの状態で見捨てられたアスナが自暴自棄になってしまうのもとても人間らしいというか、当然の反応なのでどちらも同情しかなかった。

 

個人的にはキリトくんが助けにこれず、アスナが本当にぼろぼろになりながらもなんとか自力で助かって、「もう誰も信じない・・・」的な感じで映画で描かれた以上に絶望してくれたら最高だった(笑)。当然、キリトくんの活躍や接点がなくなってしまうのであり得ないが。

 

またミトに関しては今回からの新規キャラクターなので、すでに放送されたアニメには登場していないことを考えれば、冒頭の学校のシーンの時点できっとこいつは1層のどこかで死ぬものなんだと思っていた。そのため上映中いつミトが死ぬかドキドキしながら見守っていた。ところがギリギリな描写はありつつも最後までちゃんと生きていたということで、予想は大きく外れた。生存したということで、今後のプログレッシブの映画にも登場する可能性は残った。でもラストでアスナと決別しているように見えたので、今後大役を担うようにも見えなかった。自分はプログレッシブは3層くらいまでしか読んでいないので、もしかしたら4層以降で登場しているのだろうか。今後もミトの扱いが気になるポイントになった。

 

作画に関してはさすがSAO。とても綺麗だった。違和感を感じる作画は存在せず、戦闘シーンはアニメ版2話のバージョンアップ版という感じだったし、武器の動きから髪がなびくところまでぬるぬる動いていた。当然アスナのエッチな姿も気合入れて書いてあったので、作画に関しても文句なしの100点満点。個人的には今が見ているマブラヴオルタネイティヴはロボットの戦闘シーンは綺麗でも人物の作画が毎回崩壊寸前みたいなクオリティになっている。そのため今回の映画を見た後だと、人気タイトルの映画の作画はレベルが何段階も作画の力の入れ方違うなと予算の格差を思い知った。叫ぶシーンのためだけに日高里菜を出し、ミトの変身が解除されるまでのシーンのためだけにフリーザの声優を呼ぶとか、さすがのSAOだった。

 

まとめると作画はとても綺麗であり、ストーリーとしてもオリジナルキャラクターとアスナの物語をつけ加えたけれども、原作を損なわず綺麗にまとまっていたため、とても満足いくものだった。どうやらプログレッシブの続編の映画化が決定されているそうなので、おそらくその前には今回の部分が配信されるはず。次回作を見る前にはもう一度確認してから続編も見に行きたい。

 

そして映画も一体何層までやる気なのか。こちらも別の意味で色々楽しみにしたい。