物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

灰と幻想のグリムガル (2016) 「生きていくことはそんなに簡単なことじゃないんですね」

灰と幻想のグリムガル (初回生産限定版) 全6巻セット [マーケットプレイス Blu-rayセット]

 
評価:★★★★★(星5つ)
 
ガチシリアスの異世界もの。あるジャンルが発達したらシリアスなものがそのうち出てくるのがコンテンツの流れ。それにマブラヴの吉宗さんとも交流あるみたいだし。なのでどんなものなのかなーって気になっていた。
 
 

 

 
 
それでPrimeビデオで見ようと思ったら無料じゃなくなって見れなかった・・・・
しょうがないのでdアニメストアで視聴。
 
 
 
 
すごくじわじわきました。見ているこっちもギリギリの状況で冒険しているかのようになれました。主人公のハルヒロの心情とかがすごく丁寧に表現されている。戦いの日々を生きる心情やマナトの死の葛藤。現代と似たような悩みではリーダーの責任感とかがよかった。命をかけている世界だからこそ、日常の悩みも重大になる。
 
 
 
 
 
かと思えば戦闘シーンは(若干静止画で手を抜いているっぽいとこはあったけど)それなりにグイグイ動く。それに女性陣が美しくていいですねぇ。ユメがかわいいです。全然ちっぱいじゃないぞ!脇から見える乳がまたいい。
 
 
 
 
 

異世界に生きる「普通の人」の物語

現代社会でいうならば、ただのサラリーマンの生活に注目しているといった感じ。このすばも勇者ではない人の物語だったけど、あれはギャグアニメなので比較はできない。それに死んでも最強の女神が生き返らせてくれますから・・・
 

この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)

 
 
特別な力は特にない。特に大きな目的もあるわけじゃない。けど毎日生きていかないといけない。そのために仕事する。そんな中で仲間と会話したり、友人と飲んだり休日を楽しむ。仕事がクソでもやめたいと思っていても、特に他にやりたいことがないので、とりあえず仕事する。仕事で問題起きたら、他の人たちと頑張って解決する。そんなような現実を異世界にえがいた物語になっていた。
 
 
 
 
こーんなような様子がグリムガルの中で反映されていて、異世界でも一般人は同じような感じなのかな。命の危険がないだけ、現代日本はましなのかもしれない。
 
 
 
 
おそらく僕みたいな一般人が異世界に行ったら、間違いなくハルヒロたちの立場になるはず。レンジみたいな勇者ポジションはまずない。ガンダムで言えばよくて量産機のパイロット、普通はただの整備兵ポジション。
 
 
 
 
 
 
 

物語が進むごとに段階を経て成長している。

 
みんな殺すのが上手になっているんですよね(笑)
 
 
初めは1匹のゴブリンを殺すためにかなり時間がかかっていたところから考えると、一人一人の技術の向上や成長が感じられた。仕事をするためにだんだんと必要な技=スキルを覚えたり、必要な武器や防具をみんなでお金を出して買うところとか、経費で落とす会社っぽい。
 
 
 
マナトが死んでからはハルヒロのリーダーとしての成長も結構見応えがあった。メリィ加入の流れやランタとの不和の解決とかすごい葛藤していた。自分の気持ちを押し出さず、好き嫌いじゃないところで判断しているところがわかってますね。
 
 
 
 
 
 

油断、衝撃的な出来事は突然起こる。

マナトの死。油断してるとぽっくりやられるってことか。
 
最近「群衆心理」にちょっと引っかかるところがあった。群衆の心理の性質やどうやって群衆の意識が構築されるかっていう本。その中に群衆の心理が単純なものになりやすい理由として、人間は無意識の領域が多い。意識的におこなっていることはあまりないからだと述べられていた。つまり考えることはエネルギーを使うから、みんなが信じていることを信じた方が楽ってことだった。
 

 

群衆心理 (講談社学術文庫)

群衆心理 (講談社学術文庫)

 

 

 
 
別に群衆の心理はここではどうでもよくて、僕が引っかかったのは無意識についての考え方だった。
 
 
 
油断していたってことは自分だと気づかない。事故が起こってから初めて油断していたってわかる。けど人間って結構無意識に生きているから、繰り返しおこなっている仕事に慣れるってことは無意識の領域を増やすことになる。人間は意識的にやっていることは少ない。意識的に行動するのは結構エネルギーがかかる。だから人は無意識の領域を増やすことによって楽をしようとする。なのでゴブリンばっかり狩っていたらだんだん作業になっていくのは当然。なので油断っていうのは無意識にしちゃいけない領域を突かれることを指すんだと思います。
 
 
 
 
 
 

悲しいからって立ち止まることはできない

 
それってお金がかかるんですか?
 
このセリフが衝撃。この世界の世界観?を表してるような気がした。
 
 
 
生きて行くだけでもお金がかかる。これは別にグリムガルだけのことじゃない。現代も生きて行くだけでお金がかかる。ハルヒロたちは冒険者になりたくてなったわけじゃない。冒険者として生きることが最初に提示されて、そうすることが生きていくための手段として楽だったからに過ぎない。冒険者を始めている以上、やめて別の道を探すのも難しい。
 
 
 
だからマナトが死んだからって悲しみに打ちひしがれてるわけにはいかない。ゴブリンを狩りながら今のパーティーを見つめ直して、生活しながら少しずつ回復しているところが現代っぽいですね。辛いことがあったからって仕事を投げるわけにいきませんもの。
 
 
 
 
 
 

最後に

異世界でもどこであっても一般人が楽に生きることなんてできないんですね。けどその中での成長や楽しみもあるのかなーとか思っちゃいました。
 
 
 
それに風景から始まっていることが多いですよね。そこも日常っぽくて好きでした。
あとやけに寝ているシーンが多い。そしてエロい。
 
 
 
2期あるといいんですけどね。これはぜひ見たいです。
 
 
 
原作者十文字青先生には今後も頑張って欲しいです。
そしてマブラヴ17巻のラストエピソードの監修もしたようなので、マブラヴとも絡んでくれたらいいな
 
 
それではー