物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

1518 イチゴーイチハチ 3,4巻 (2016~2017) 感想 「主人公ではない人々の生き方」

1518! イチゴーイチハチ!(4) (ビッグコミックス)

評価:★★★★★(星5つ)
 
 
1518の3,4巻読了。本当に素晴らしい物語です。生徒会を中心とした物語なのに、いわゆる学園もののノリだったり、ラブコメは展開しない。かといって烏谷くんや会長が野球に関するコンプレックスを抱えている過去があるけれども、野球ものであるわけでもない。ただひたすらに登場人物の過去の後悔と今を描く物語になっている。
 
 
前回
 
3,4巻では烏谷くん以外のメンバーの挫折や断念が見えてきました。2年生の2人もしっかりと背景があった。そもそもこの作品の舞台の高校が進学校に落ちて、滑り止めとして入学する学校となっている。となればもちろん受験で失敗した人が出てくる。その役割が2年生2人になっていた。
 
 
 
僕も高校受験ではないけど、大学受験には失敗しているので、第一志望に行けなかった虚しさや虚無感はわかる。まあ僕の場合はそこまでやりたいという意思がなかっただけでしたけど。それでもそれなりの努力はしたので、それが報われなかったというのはかなり辛かった。だからこそ、この物語で描かれている「断念」の物語は誰しもに起こりうる出来事をしっかり読み込ませている部分がすごい。普通ならそんな暗い物語なんか読みたくないよ。
 
 
 
4巻でも、自分がもうたてない試合を応援するって気持ちはどうなんでしょうね。かなり自分の中で割り切るか、気持ちが整理できていないとその場所に行くことすらできないと思う。烏谷くんは別のやることや目標があるからこそ試合の応援という立ち位置にいれたのでしょうね。
 
 
 
この学校が他の人に優しいのは、それぞれが「断念」を抱えているからこそ、他の人の立場に寄り添っていけている。滑り止めの高校っていう舞台がその状況を補強している。
 
 
 
生きている以上、何かをする。挑戦してもその物語の主人公になれる可能性は低い。だからこそ断念する必要性が必ず生じる。だからこそ(2回目)諦めた後にどうするべきなのか、諦めた後にどう行動すればいいのか、それを知ることはとても大切なこと。それを地味でありながら丁寧に描いているこの物語は本当に素晴らしいです。この先も追っていきたいです。
 
 
 
それに加えてペトロニウスさんの感想に感動してしまった。
 
作品の紹介から始まってこの物語の主題である断念について語る。そこから人生における成長を語っています。原作未読の場合でも一読をおすすめします。
 
 
 
 
次回は2018年4月に発売だそうです。
 

 

 
楽しみですね。
 
 
それではー