物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

結城友奈は勇者である (2014) 「みんなと一緒なら、なんだって乗り越えられるんだ」

 

結城友奈は勇者である 1 [Blu-ray]

評価:★★★☆☆(星3つ 客観的評価)
評価:★★★★★(星5つ 個人的評価)

 

これ、絶対見る人によって評価が大きく変わりますね。僕は最初びっくりしましたけど、最終的にはとても良かったです。あのまま続けていても、絶望しかない。
 
7/23記載分(1~6話)の部分と7/24記載分(7~12話+総評)に分かれています。
 
 
 
 
 
 
 

勇者部が勇者として戦う理由

7/23記載分(1~6話)
  • 友奈・・・・友達のため、みんなのため
  • 東郷さん・・友奈のため
  • 風さん・・・親の仇
  • 樹・・・・・姉のため、自分の夢のため
  • かりん・・・大赦のため
 
それぞれの戦う理由はそれなりに不自然な感じはしなかった。友奈は性格的に戦えそう。東郷さんも最初は不安というか、東郷さんの反応こそが通常の反応。いきなり戦えと言われても一番不安でしょう。もともと歩けないですし、変身してどうなるかもわからない。結果的に変身して動けるようになったから良かったけど。風さんとかりんはもともと準備ができていたのであまり言うことはない。唯一不安そうな樹も4話で保管されていましたし。代わりにフラグがビンビンに立ってしまったが・・・。
 
 
 
全体としては「みんなのため」というのが最大の戦う理由なんだと思う。みんなが頑張るから、私も頑張る。みんなを死なせたくないから、私も戦う。理由としては単純だけど、そんな理由がすごい納得できる。
 
 
 
マブラヴとかでも言っているけど、兵士が戦う理由の1位が仲間のためだそうだ。現実世界でのソースがわからないので、現実に当てはまるかわからないが、1位になる理由もわからなくはない。訳のわからん世界や全体のためになんか戦ってられない。
 
 
 
 
国のために頑張れ!と言われるより、お前の大切な友達のために頑張れ!と言われた方がやる気が出る。これと理由は似ているのかもしれない。
 
 
 
 
いくつかの塾でアルバイトしたけど、一番やる気が出たのは大手の塾ではなく、友人が経営する塾だった。訳のわからん大きな組織のためより、目の前の生徒だけじゃなく友人のためにという理由がはっきりしてから、責任感も増してより頑張れるようになった。結局人間なんて、正しいがよくわからないお題目より身近な戦う理由の方が勝ってしまうんでしょうね。まあこれもマブラヴの受け売りですけどね!
 
気になる人はマブラヴやろう!!
 

マブラヴ - PS Vita

 

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「みんな」の定義が友奈とそれ以外で異なっている

7/24記載分(7~12話+総評) 
6話までは全員が、仲間が、みんなが戦っているから、私も戦うんだ!という感じだった。けれども7話以降で散花の代償を知って、それぞれの戦う理由がぶれていった。その結果がそれぞれの行動に影響を与えていた。
 
 
 
戦う理由(1~6話→7~12話)
  • 友奈・・・・友達のため、みんなのため → 変化なし
  • 東郷さん・・友奈のため → 勇者部ため、特に友奈のために暴走
  • 風さん・・・親の仇 → 妹のために暴走
  • 樹・・・・・姉のため、自分の夢のため → 姉のため
  • かりん・・・大赦のため > 勇者部のため → 勇者部のため 
 
 
12話を通して思ったのが、友奈とそれ以外の人たちの「みんな」の定義が違うということだった。風さんと東郷さんは、みんな=勇者部のみんな、のために戦っていた。そのため東郷さんはもう勇者部のみんなが生き地獄を味わうなら神樹なんてぶっ壊せという感じになった。風さんも、部員を騙していた大赦なんてぶっ飛ばしてやるとなった。
 
 
 
一方で友奈はみんな=神樹に住んでいる人全員、のために戦っていた。だからこそたとえ勇者部のみんながヤバくても、街の人が残っている以上諦められない。というかこの定義だったら友奈は最後まで諦めない。五体不満足になってもバーテックスを倒すのも納得する。
 
 
 
樹は姉がいる限りは戦うだろう。かりんも満開を連続で4回使うなんてどう考えてもヤバい。でもかりんは勇者としては先輩であるのに、満開の代償は受けずに、他の人が苦しむ様子を見ていた。だからこそ、あの時がやるべき時だったのでしょうね。かりんの散花の結果は正直悲しくて目が当てられなかった・・散花については次の章で言います。言いたいこと「かなり」あるので。
 
 
 
 「みんな」の定義が、「世界のみんな」である結城友奈は真の勇者あることは間違いない。
 
 
 
 
 
 
 
 

 満開の後遺症について

7/23記載分(1~6話)
6話時点ではこれが一番引っかかりますね。ゆゆゆがシリアスになる理由の1つが「ヴァーテックスの襲来」、2つ目が「満開による後遺症」。プリキュアならやる気と友情パワーで全てを吹き飛ばしている。
 
特に「満開の後遺症」が6話以降の鍵になるのは間違いない。
 
おそらく、絶対に物語の展開的にもう一回くらいヴァーテックスは来る。その時に自分の身を犠牲にしても満開を使うのか、どういう覚悟を持って満開を使うのか。それとも使わないで終わるのか。その展開にゆゆゆのキャラクター達の成長が現れるんじゃないかな。楽しみにしておこう。
 
 
 
7/24記載分(7~12話+総評)
正直後半の方は気分が悪くなってきた。まどマギも十分に絶望的だけど、魔女化という現実にはありえない抽象的なものだったので、あくまで物語としてみていられた。けど、ゆゆゆは身体機能の喪失だから、よりリアルに感じられた。最初に言ったけど、正直気分が悪かった。東郷さんも言っていた通り、強制的に戦わされて、全力で戦う代償が身体機能の喪失というのはまさに生き地獄じゃないのかと思った。
 
 
 
 
なので東郷さんのように「そんな世界は滅んでしまえ」と思う人が出るのはある意味当然。暴走した東郷さんを友奈が「絶対に忘れない」と言って暴走を抑えていたが、そんなのは方便にすぎない。満開しつづければ、やがてどこかに異常をきたす。敵が無限に攻めてくる以上、この結果は絶対に避けられない。つまりどうあがいても絶望しかない。戦えなくなるまで戦うか、神樹が滅びるかの2択しかない。
 
 
 
 
正直このアニメは気分の良いものを描いてはいない。特に8話以降は勇者部の面々に身体機能の喪失と世界を守ることを天秤にかけさせている。結果的に世界を守ることを受け入れていたのは友奈だけだった。あと樹くらいか。その樹も姉が動けなくなったら・・・どうなるだろうね。姉のように暴走するんじゃないかなー。
 
 
 
 
 
僕は物語を描く時に安易に人を殺したり、絶望的な状況に追い込むのは、それ相応の理由があるべきだと思っている。たとえ物語のキャラクターであっても、なんの理由もなく絶望的な状況に追い込んでいいものとは思えない。表現の自由とかもちろんあるけど、それを踏まえた上で、少なくとも僕はそうあってほしいと思っている。別に押し付ける気はないので、あくまで僕の意見として捉えてください。
 
 
 
このアニメを作った人たちはどう思っているかどうかわからない。けれども、ここまで友奈たちを追い込んで、最終的に何を伝えたいのかな? とは考えて見ていた。
 
 
 
そしたら12話でびっくり。満開して散花した結果身体機能を失うはずが、特に身体機能は失わなかった。しかし友奈だけほぼ全ての身体機能の喪失をしていた。その後、友奈以外のメンバーの失ったはずの身体機能が復活し、最終的には友奈も最終的に全快した。
 
 
こんなご都合主義を見たのはいつぶりだろか。
 
 
 
最初はね
 
おーーいおいおいおいおいおい・・・・
 
なんじゃそりゃーーー!!!
 
 と思ったが、これはこれで逆にとっても面白い展開だと思った。
 
 
 
 
ストーリーの設定を全部投げ捨ててでも、スタッフは伝えたいことがあった。
 
 
 
つまり、友奈のメッセージや生きる姿の正しさを、奇跡という形で示したかったんじゃないのか、と言うことだ。
 
 
 
ご都合主義とも言われようが、なんと言われようが、ハッピーエンドにしたスタッフに僕は感動した。
 
 
 
正直このまま続けてもどう考えても絶望しかない。最終回で絶望で終わっても後味が悪い。だったら奇跡という形でもいいから友奈の正しさを伝えるのは間違っていない。
 
 
みんなで最後まで諦めずに頑張れば、なんだってできるんだ!
 
 
 
そんな真の勇者である友奈の純粋な願いが、最後に奇跡として示されたんだと思います。
 
 
 
 
 
最後の言葉がまとめになっていますね。
 
勇者は自分がくじけないことがみんなを励ますことだと信じていました。
そしてみんながいるから、みんなを信じているから自分は負けないのだと。
 
 
 
結局世界は嫌なことだらけだろう。辛いことだらけだろう。
お前も見て見ぬふりをして堕落してしまうがいい。足掻くな、現実の冷たさにこごえろ!
 
 
 
そんなの気持ちの持ちようだ!
大切だと思えば友達になれる。互いに思えば何倍でも強くなれる。無限に根性が湧いてくる
 
 
 
世界には嫌なことも悲しいことも自分だけではどうにもならないこともたくさんある。
 
 
 
だけど、大好きな人がいれば挫けるわけがない。諦めるわけがない。
 
 
大好きな人がいるのだから。何度でも立ち上がる。
 
 
 
だから勇者はまけないんだ!
 
 
 
そう。なんだってのりこえられるんだ。
 
 
 
大好きなみんなといっしょなら。
 

 

 
 
 

ゆゆゆの世界はどうなっているの?

7/23記載分(1~6話)
 
いまいち設定がわかりづらい部分がある。まだ不明な点もあるが、そこはいい。大赦って何?とかは別に気にならない。僕的に問題があると思っているのは、ある程度説明されている風なのに謎な設定?について。
  • バーテックスって本当に全部で12体なの?
  • じゃあ他の地域は何と戦っているの?
  • 他の地域では出現しないの?
  • 地域ごとに12体出現するの?
 
そこらへんが微妙だった。ネタバレが嫌なので見ている最中にネットは検索したくないので、ググレカスは勘弁して。
 
まあ7話以降に展開されるかもしれないのでそこは期待しておこう。
 
 
 
 
7/24記載分(7~12話+総評)
6話までの伏線はきっちり回収されていた。まあ予想どうりというか、バーテックスは無限にいましたね。他の地域は全て滅びていたので、他の地域なんてそんなのなかった。
 
 
 
 

友奈から東郷さんへの「大丈夫だよ!」発言について

2017/11/8 追記 
ゆゆゆを見直した。主人公の友奈が東郷さんに向かって「大丈夫だよ」っていう発言が気になった。1回目も気になっていたけど、改めて見ると友奈というキャラクター性が十分に発揮されているなーと思った。このシーンは友奈でないと成り立たない。
 
 
 
「大丈夫だよ!」と言っているけど、11話の状況は、どう考えても大丈夫ではない。おそらくここまでのお話を見た人には全員わかるはず。
 
  • 世界は四国以外に存在してない。
  • 満開するたびに体の機能が失われる。
  • 満開で記憶を失うかもしれない。
  • だけど死ぬことは許されない。
  • 敵は無制限にやってくる。
  • 加えて今まさに死ぬかもしれない状況にある。
 
 
そんな状況でも友奈は東郷さんに「大丈夫だ」と言った。何度も言うけど、どう考えても大丈夫じゃない。ただ東郷さんの暴走を抑えるために友奈が言っただけとしか捉えられない。だけど友奈の性格を考えれば、おそらく本気でなんとかしようと考えているはず。「とりあえずこう言っておけば東郷さん止まるっしょ!」とか打算的なことは考えていない。
 
 
 
友奈は本気で世界とみんなを信じているし、守りたいと思っている。だからこそ東郷さんは世界の絶望さにもかかわらず、友奈ならなんとかできるんじゃないかと感じた。友奈というキャラクター性こそが、この根拠のない状況での「大丈夫」発言を意味あるものに変えていた
 
 
 
加えて、最終話の「自分がくじけないことがみんなを励ますことだと信じていました」という部分とか聞くと、あのシーンでどれだけの覚悟で友奈自身もかなり踏ん張っていたんだなぁと感じて涙腺崩壊します。
 
 
 
僕はこのシーンが大好きです。
 
 
 
 
 
 

最後に

結城友奈とその仲間たちの成長としてはこれでいいのかもしれない。けれども世界観的には何一つ解決してないんですよね。結局外の世界のことはわからないし、満開の代償とか何も変わっていない。後輩がどういう代償を背負うかもわからない。
 
 
 
そこらへんの回収を2期でやるのかな。
 
 
2017年10月から放送開始。
 
前半6話は鷲尾須美の章なので、本番は後半の勇者の章が楽しみです。
 
 
 
 
 
ご都合エンドとか、前半の展開が遅いとかあるけど、久しぶりに自分の感性が大きくゆさぶられる作品に出会えた。最初は「どーせ『まどマギ』のパクリだろwwwww」とか感じていた。だけど、ある意味肉体的に生き地獄を味わうという部分ではまどマギを超えていた。いろいろあるけど、この作品はかなり気に入りました。
 

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勇者部五カ条
  1. 挨拶はきちんと
  2. ならべく諦めない
  3. よく寝て、よく食べる
  4. 悩んだら相談!
  5. なせば大抵なんとかなる
 
なんかいいですよね。これ守ったら健全な人間関係と食生活を送れそうです。
 
 
それではー
 
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