物語の思考法

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ホリエモン×ひろゆき やっぱりへんだよね ~常識を疑えば未来が開ける~ (2016) 感想 「2人の考え方と共に知識の幅が広がる」

ホリエモン×ひろゆき やっぱりヘンだよね ~常識を疑えば未来が開ける~

評価:★★★★☆(星4つ)
 
 
ホリエモンこと堀江貴文さんとニコニコ動画2ちゃんねるを作ったひろゆきこと西村博之さんの対談の本だった。この本は週間プレイボーイで連載されていたものをまとめたものだった。
 
 
 
 
以前からホリエモン情報はチェックしていて、この対談の内容も前半部分はhoriemon.comで見られるようになっていた。気になる人は下からアクセスしてみるといい。前半部分しか読めないけどね!
 
 
 
 
 

 

 
 
ホリエモンひろゆきが政治、経済、IT、教育などいろんな「なんかヘン」だと思っている問題に対して対談するといったものだった。2人は時代の最先端技術に触れて、今もいろいろな事業に関わっている。そんな2人の視点から今の日本の問題をどのように捉えているのかがわかる内容だった。
 
 
 
 
 
ひろゆき(愛称なので呼び捨てで進めていいよね……)が登場しているので、堀江さん側だけではなくひろゆきの意見も入るので2人文の視点が見れた。こういう対談形式だとどちらかの意見に同意して終わるケースがたまに見られるけど、この中では2人の意見が平行線で終わるようなケースもあったので、いろいろ面白かった。
 
 
 
 
 
けど、2人が専門家ではないものに関して意見を述べているものもある。別にこの本だけではないけど、全て肯定的に受け止めるのはやめたほうがいい。あくまでこういう意見もあるんだなーとか2人はこう考えているんだなーと言った姿勢で読むのがいい。
 
 
 
 
 
対談が50個入っているので、印象に残ったところを抜き出して語ります。
 
 
 
 
 
 
 
 

就職はまずバイトで雇え

ひろ そもそも、「いつから就活がスタートする」とかも変なルールですよね。
 
 
 
ホリ そうそう、意味不明だね。本来は、学生の時からその企業でバイトして、そのまま働くのがベストだと思う。
 
 
 
ひろ そのほうがお互いのためにもいいですよね。学生も会社に入ってから「予想と違った!」とか「こんなはずじゃなかった!」とかで振り回されることもなくなるわけで。んで、会社側も「使えるやつかそうじゃないか」ってのは、実際に働かせてみるのがわかりやすいわけですから。
 
 
 
 
ホリ だよね。お互いにメリットがあるのに、なんでそうしないんだろう。
 
 
 
 
ひろ 学生のバイトといえば居酒屋とか飲食店が一般的ですし、他にも塾講師とかキャンペーンガールとかも人気ですよね。それを見ていると、やりたい職業ってより、時給の高さを重視している気がします。
 
 
 
 
ホリ あとは、間口がないってのもあるかも。学生の就職人気企業ランキングの上位に航空会社があるけど、CAとかの仕事はバイトには任せられないよね。
 
 
 
 
ひろ あと、車内の実態がバレたらヤバい企業とかだと、バイトは頼めなかったりもしますよね。
 
 
 
 
ホリ ああ、そのパターンね。

 

 
これは本当に同意。就職解禁とともに動き出すのは遅いし、解禁数ヶ月前に急にインターン行っても見つけられる保証はない。常にアンテナを張って企業を探すくらいの覚悟でいたほうがよかったなぁ。と就活後に思っていた。
 
 
 
 
 
僕はインターンに行った企業にエンジニアとして就職したので、さほど就活には困らなかった。加えてインターンに行けば会社の中身や社員と話ができたので、内情もある程度知ることができた。それを何回か繰り返すことによって企業ごとの比較や業界の状況がある程度わかってきた。
 
 
 
 
 
僕の時の就活解禁が3月だったけど、その時は12月くらいからいろいろインターンに行っていた。最初はわからなかったけど、いろいろ見ているうちにだんだんわかってきた。業界を絞ったからこそ短い期間でなんとか成功したと思っている。文系の人とか業界を絞らないから大変じゃないのかな。バイトまではいかなくてもいろいろみておこうという意思は大切だと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

イノベーションとインベンション

ひろ 将来的に人工知能が人間に勝つという予測は、「コンピューターの計算能力が上がる」か「画期的なアルゴリズムが開発される」からだと思われていたんですけど、今回のアルファ碁を見て「豊富な資金力で計算能力をあげまくる」ってのが選択肢として抜けていたなと。例えば、「この暗号を1台のパソコンで特には1万年かかります」って言われたら、結構かかるなぁって思うのが普通なんですけど、今回のアルファ碁の場合だと「だったら1万台のパソコンを用意して1年で解いちゃおうよ」って感じなんですよね。
 
 
 
 
ホリ そんなこと、資金力がないとできないよね。
 
 
 
 
ひろ えぇ。だから「資金力があるところが本気を出すと計算力はとんでもないことになる」ということで、僕が見ている限りでは、アルファ碁は画期的なアルゴリズムで挑んだわけではなく、お金の力で勝利したと思うんですよ。
 
 
 
 
ホリ でもさ、それってグーグルのお家芸でもあるよね。グーグルのメインサービスである検索エンジンでも似たようなことをしているから。昔「アルタビスタ」っていう検索エンジンの会社があって、そこは大型コンピューターを使っていた。一方のグーグルは何千台というパソコンサーバーを並べて対抗した。コロンブスの卵”というか、コンピューターの数で勝負した形なんだけど、このやり方をしたから今のグーグルがあるといえる。検索エンジンと同じことを囲碁のソフトでもやったってことだよね。
 
 
 
 
ひろ 確かに、圧倒的な計算力で他者が追随できないモノを提供するのはグーグルの得意技ですよね。アルファ碁もアルゴリズム的には2006年から使われている「モンテカルロ木探索」のほぼ発展版なので特に目新しいさはないですし。
 
 
 
 
ホリ でも、世間の反応をみてると「アルファ碁がどうしてその手を打ったのかわからない」とか「人間の理解を超える」って話になっている見たいなんだよね。
 
 
 
 
ひろ 冷静に考えればわかるんですけどね。例えば、ヘリコプターを造る時に「プロペラの枚数」や「エンジンのサイズ」「エンジンの個数」「燃料の種類」「価格」とか、いろんな要素を決める必要がありますけど、グーグルは各条件に適当な数宇を入れて計算して「一番いい結果だったやつを選ぶ」という、ある意味シンプルなアルゴリズムを使っている。なので、「どうしてその手を打ったのか」っていう疑問の答えは、「統計的にそっちのほうが勝率が高いから打ちました」ってだけなんです。
 
 
 
 
ホリ そうなんだよ。でもイノベーションって本質的にはそういうもんじゃん。
 
 
 
 
ひろ ええ。人間ってどこかに理解できないポイントがあると、「何かすごいことがあった」みたいな理解をしてますけど、実際には地道な作業の延長上のことが多いんですよね。今回だって、もし「量子コンピューター1台で勝った」なら、本当にすごいことですけど、実際は「膨大な数の地道な作業をやっている」だけですから。
 
 
 
 
ホリ うん。多くの人はイノベーションを「存在しないものをつくったとき」って認識していると思うけど、それはイノベーションだけじゃなくて「インベンション(発明)」だから。発明と革命は別物だから。
 
 
 
 
ひろ ですね。だから、アルファ碁はイノベーションだと。
 
 
 
 
ホリ そう。よくスティーブ・ジョブズとかと比べて「日本人はイノベーションが起こせない」みたいなこと言うでしょ。でも、彼らのやっていることは地道な作業の積み重ねだったり、力業だったりするわけ。それをカッコ悪いと思わずに「それでもいいんだ」って割り切って突き進むことが大事なんだと思う。イノベーターって一歩踏み出すが得意なわけで、発明するのはそれほど得意じゃなかったりするからね。

 

 
 
 
Googleの凄さっていうのはITに詳しくない人でもわかる。ググるは普通の言葉になっているし、検索エンジンの使用率もとても高い。スマホのOSのアンドロイドやYoutubeGoogleのものだし、GoogleEarthや地図には僕もお世話になっている。VRにも手を出し、AIやMRも手を出す。一見関係なさそうな自動運転までやっている。
 
 
 
 
 
上に書いてあるけど、Googleの看板である検索エンジンGoogleが最初に開発したものではない。他の検索エンジンが出ていたところに違うアルゴリズムを導入したのがきっかけ。
 
 
 
 
 
 
イノベーションの話ではiphoneもただの技術の総決算。当時で新しい「技術」なんてなくて、すでにある技術を組み合わせることによってiphoneは生まれた。優れていたのはアイデアの方。当時、当たり前だった携帯電話のボタンを全て取っ払うとかすごいですよね。今では当然のようにボタンがないけど。
 
 
 
 
 
なので新しいものを作ろうと思ったら、すでにある技術をどう組み合わせるかって部分が大事なのかな。Googleも毎月のように会社を買収しているし。そうやっていろんなところに手を出しながら、常に地道な努力を続けているから世界のトップに居られるんだと思います。
 
 
 
 
 
 
ひろゆきが生み出したニコニコ動画2ちゃんねるは根付いているし、堀江さんの方もライブドアの社長で検索エンジンも作ろうとしていた。そんな背景を知っていると、この対談の重みが少し実感できた。
 
 
 
 
 
 
 
 

税金高いとお金持ちが海外に逃げる

ひろ 最近、アメリカ国籍を捨てるアメリカ人が増えてるって話をよく聞きますよ。しかも富裕層じゃなく一般人が。その原因のひとつが、アメリカ人って世界中どこにいても、アメリカに1日もいなくても、国に確定申告をして税金を払えっていうシステムらしいんです。
 
 
 
ホリ 海外で働いていても?
 
 
 
 
ひろ ええ。なので、例えばスイスで働いているアメリカ人からすれば「なんで済んでもいないアメリカに勢員を納めないといけないの?」ってことになるじゃないですか。そう行った経緯もあって、アメリカ国籍を捨てる人が増えているみたいなんですよね。
 
 
 
 
ホリ 納税率って、そのうち世界中でフラット化していくでしょ。
 
 
 
 
ひろ EU内ってパスポートがなくても国家間の移動が自由なので、フランス国境付近のベルギー領に済んで、会社や買い物はフランス、税金はベルギーに払うっていうケースもあったりしますよ。日本は島国なので難しいんですけど、電車に乗ればブリュッセルからは1時間20分でパリにいけちゃいますから。だから、EU内では堀江さんのいうようにほかの国に税率を合わせるというフラット化は実際に増えてますけどね。
 
 
 
 
ホリ 俺的には税金がバカ高くなければ、それでいいんだけどね。
 
 
 
 
ひろ 社長さんが気にしていたのも、税率が”収入の半分を超える”ことっぽいですよね。
 
 
 
 
ホリ 今までの所得税最高税率は40%で、1800万円以上の所得から適用されてたけど……。
 
 
 
 
ひろ で、40%の税率が安倍政権下で45%になり、地方税、住民税も含めると55%になるんですよね。社長さんが気にしていたのは納税率の高さではなくて、「50%という国との折半が我慢の限界だった」と行っているように、所得の半分以上を国に持っていかれるっていう心理的なものがあったんじゃないですかね。
 
 
 
 
ホリ そうかもね。

 

 
 
 
普段あまり税金や法律のことを考える機会はないので、こういう風に簡単にさらっと紹介してくれるのはありがたかった。知らないところでいろんな知識がいるんだなぁとしみじみと思っていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
確かに稼いでも国に持っていかれるのは納得いかない。稼げる人は頭の回る人が多いはずなので、税金のことにも気づいている人も多いんじゃないかと思う。バイトの103万が上限とかはよく聞くけど、そんな感じで税金の高さから逆に稼がなくなるような人もいるのかな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

最後に

堀江さんの本は定期的に読むけど、今回はひろゆきが加わることによって、いつもの堀江さんとは違った発言や様子も見られた。法律とか経済とか、普段触れないような知識にも関心が持てたのでとても興味深かったです。
 
 
 
 
それではー