アイドルマスターシャイニーカラーズ 天塵 感想
普通によかった。アイドルマスター関連作のシナリオなんてほぼほぼ読んだことはなかったけど、アイマスのシナリオとは思えないほどよかった。
理由はうまく説明できないけど、ただ上澄みだけのキャラクター性を拾うだけでなくて、少ない文章だけれども関係性やキャラクターの心情を多くて、だけれども全て表現するわけではなく提示された部分から想像させるような描写が多いので、アイドルマスターらしからぬ見た目に止まらない心情を掘り下げるような内容があるのが良かったのだろう。
FGOのイベントシナリオとかでは、シナリオがキャラクターの設定だけだったり、いわゆるカップルと呼ばれる組み合わせを出して、そのキャラクター性の表面をうっすら舐めただけのような文章が多くて、読む気が失せることが多かった。なのでこういうキャラクターの内面を読者に想像させる要素がある文章は読んでいてとても気持ちがよかった。加えてこれがアイドルマスターという、読み物というよりキャラクター性を全面に押し出して然るべきコンテンツで見れたことがさらに印象深くなっていた。
シャニマスを見始めたきっかけはちょうどやっていたFall Guysの動画をあさっていて、月ノ美兎の動画を見つけて月ノ美兎の会話のセンスに惹かれたのがきっかけだった。初めは月ノ美兎の話し方が面白くてシャニマスの動画をみていたけど、浅倉透のシナリオがアイマスらしからぬ話に惹かれて始めることにした。
端的に表現すれば、浅倉透のシナリオはギャルゲー入門みたいだった。文章量としては多くないけど、プロデューサーとの伏線を表現しつつ、透との関わり合いを進めていくストーリーに惹かれた。アイドルマスターでこれをやっているというのがギャップにもなっていたのだろう。
なので、ノクチルのキャラは浅倉透のみプレイして小糸ちゃんは月ノ美兎の動画で見た。樋口さんと雛菜さんはまだ見ていない。だけど、イベントだけで後者の2人がどういう人なのかはわかったし、おそらくまだ結成の話は出ていないけど、どういう順番でどういった経緯でアイドルになったかは簡単に想像できた。
おそらくだけど、一番最初に浅倉透がスカウトされて(これは読んだ)、浅倉透に憧れている雛菜さんが後に続く。透が心配な樋口さんが事務所に行って、みんなに置いて行かれないように小糸ちゃんが最後に続いたのだろう。これだけ想像できるのだから本当によくかけているのだなと思う。
肝心のイベントストーリーはユニットを結成してすぐの話なんだろう。それとノクチルは浅倉透が中心になって成り立っているのはすぐにわかった。グレンラガンのカミナ的ポジションなんだろう。みんなの中心。決して天才というわけではないけど、みんなを惹きつける何かがある人。そんな感じ。逆に小糸ちゃんはシモン的な感じがした。仲間が死んだらめちゃくちゃうろたえるけど、最後にはみんなを引っ張るようになりそうだなと。
シナリオ序盤では浅倉透は圧倒的な圧倒的なカリスマでテレビ局も透しか見ていない。これはわかる。自分もシャニマスを始めた理由が月ノ美兎の動画で浅倉透のシナリオを見てビビッときたから。何か惹かれるのは納得。透も基本的にドライだけど、仲間を大切に思っているのは伝わってきた。テレビ局の人がイラっとするからって仕事で手を抜きすぎるのは社会人としては若干引っかかるが、透の性格から考えればこれも自然な感じがした。
その後、プロデューサーが今後アイドルとしてやっていく上で自分たちが続けていく理由を問うていた。ここはかなりよかった。嫌なことはこれからもあるけど、それを乗り越えてまでアイドルをやりたい理由はなんですか?と。樋口さんや雛菜さんはまだ不明な部分が多かったけど、それぞれの覚悟を胸にお話は続く的な感じで終わった。
透はwingのシナリオでジャングルジムを登ることと人生を登ることに例えていたが、イベントでノクチルを続けている理由として、前に進んでいる気がしているから続けてみたいという理由はwingを読んでいたので一層意味が理解できた。樋口さんや雛菜さんもwingを読んだらまた別の視点が見えるのだろうか。
小糸ちゃんはアイドルをやりたいというより、みんなと一緒にいたいからというかなり心配になるような理由でアイドルをやっているのが気になった。今後のシナリオでアイドルを続ける理由として、みんな以外の何かを見つけてくれたらものすごくいいシナリオになる気がする。と言うか見てみたい。さらに言うなら理由によってはアイドルをやめると言う選択肢になってくれるとシナリオとして盛り上がりそうだけど、アイドルマスターという作品の登場人物である以上それは流石にないだろう。
樋口さんはみんなを気にはかけているのだけど、アイドルをやる理由は透への対抗心が根底にあるような気もした。透にできることで私にできないことはない。透の内心を見透かすような言動からそんな気がした。雛菜さんはまだ見えて来なかった。樋口さんや小糸ちゃんよりはアイドルに対して前向きな姿勢なので、アイドルとしては優秀そうだった。シナリオの部分では透への憧れの理由などが以降の話でみられるといいな。
というか改めてノクチルは透を中心に成り立っているのがよくわかった。前を突き進む透と、透をみている樋口さんと雛菜さん、そしてみんなをみている小糸ちゃんでいい感じのバランスになっている。
最後にイベントシナリオを読んだ後に「いつだって僕らは」の歌詞を見た。内容はこれから一緒に頑張っていこう的なシナリオのラストから続くような歌詞になっていた。歌詞がシナリオと密接にリンクしているのは曲を聞くたびにシナリオを思い出せるのでとてもいい。丁寧に作られているんだなとわかって改めて好印象だった。
「あの花のように」もこれを書いている時(2020/09/12)でフルバージョンは発売されていないが、歌詞の節々に花火をイメージさせるような言葉が多い気がしたので、おそらくこれもイベントシナリオからの流れで聞くべき曲なのだろう。花とは花火のことだよね。おそらく。曲調的には「いつだって僕らは」よりこちらの方が好みです。
まとめ
イベントシナリオもこれが初めてでwingすら優勝したことないのであまりシナリオを読んではいないけど、それでもシャニマスのシナリオはかなり好きな方。そもそもアイドル育成ゲームすらほぼしないし、デレステやスクフェスはシナリオなんてほぼほぼ読んだことがない。と言うのも、前述の通り取ってをつけたようなキャラクター設定を全面に押し出すか、アイドル同士の絡みを見せつけるだけで、そのキャラクター自身の心情や成長や葛藤のシーンが全くないので読む価値がなかったから読んでいなかった。シナリオ重視のソシャゲといえばFGOだけど、FGOもイベントシナリオが上記のような感じなので最近は読んでいない。
文章や展開でいえば化物語がやや類似しているような気がする。化物語の1巻は後に出てくる傷物語の内容をすっ飛ばして物語が進む。過去に何かあったのは文章からまあまあ想像したりできるけど、詳細はわからない。だけれどもその空白が面白い。シャニマスのシナリオもそんな印象を覚えた。
例えば樋口さんがみんなの前では浅倉と呼ぶけど、一人の時や過去の回想では透と呼ぶ部分。この理由ははっきり語られていない。もしかしたら自分はまだ樋口さんのwingシナリオを読んでないので、そこで説明があるのかもしれないが。透も同様になぜ回想では樋口さんを名前で呼ぶのに、現在の時間軸では樋口呼びするのかまだわからない。おそらく何かがあったのは間違いないけど、その理由をあえて語らずに匂わせるのはものすごくシナリオとして美味しい。透も樋口さんも本音をぶつけ合う人ではないので、どういう過程があってそうなったのかが気になる。
自分の中でノクチルを担当しているライターさんの描写が合っていたのだろう。他のユニットのストーリーが自分に合うかはわからない。なのでシャニマスを全てやりこむかどうかはまだわからない。だけど少なくともノクチル関連のシナリオは少しずつやっていきたい。そう思えるシナリオでした。
メモ
シャニマスの曲的にはシャイノグラフィが良い。サビのゆっくりと盛り上がっていく感じも良いし、歌詞もクールな印象の文章でものすごく好きになった。
その羽はきっと、光の当たり方で色を変える
君と笑っている私は 幸せな色をしていてほしい
BLEACHの扉絵に出てきそうなポエムがかなり気に入った。歌詞全体は私に自信はないけれど、仲間と一緒に頑張っていこうというアイマスの全体曲らしいメッセージが伝わってきてでとても良いです。