物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

ノーゲーム・ノーライフ ゼロ (2017) 感想 「自分の立ち位置がわかると、人は初めて動き出せる」

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評価:★★★★☆(星4つ)
 
 
 
テレビアニメ視聴済み。原作未読。なので、アニメのみでの感想です。
ネタバレ全開です。気をつけてね。
 
 
 
ノーゲーム・ノーライフのアニメ版の続き、というか前日譚。
 
十分に秀逸な作品でした。
 

 

 
原作は読んでないけど、ストーリーはだいたい理解できた。作画もかなり凄かったですね・・ジブリールとシュヴィの戦いのシーンとかどれだけ動いてんだよ!って感じでした。
 
 
 
 
 
 
 
 

ディスボードはどうやって生まれたのか

 
トーリーの根本は、ディスボードがどうやってできたのか?という部分。テレビ放送版では、とんでもパワーを持ったヤツラが存在していて、昔戦争をしていたんだよーっとは語られていた。だけどストーリーの中で語られるだけでなく、実際に劇場版で見ると確かにヤベェなという雰囲気がビンビン伝わってきた。ジブリールとシュヴィの戦いだけで「あんな感じ」なのだから、確かに人間は死ぬわ・・・
 
 
 
とんでもパワーの化け物がとんでもパワーで殺し合う世界で人間はもう生きるだけで精一杯。自分の集落を守るために潜入や調査をするたびに仲間が死んでいく。仲間が死んだシーンは最初だけだったけど。ちょっと逸れるけど、死なないことを盟約においていたとは言え、盟約を制定した後に人間側は誰も死なないのはちょっと都合が良すぎるのかな? 絶望的な世界であるほど、テレビ版の世界が映えるので、もっとどん底に落ちてくれた方が良かったっす。
 
 
 
 
まあそんな感じでそんな絶望的に生きるしかない中で、シュヴィと出会って世界を変える決意をする。何もしないでも死ぬだけ、仲間が死ぬのはもうごめん、だったら世界を変えてやろうじゃないか、と。
 
 
 
 
シュヴィとの出会いのおかげで、多種族の機密情報に触れることができたのが大きかったのかな。なんで多種族は戦っていて、どうやったら戦争が終わるのか。それが全て分かった上で自分はどうしたいのか、自分は何ができるのか。それを踏まえた上でどう行動していくのか。僕はこの一連の流れが結構スッキリしていて好きでした。
 
 
 
 
結果的に自分のやるべきことに従って、行動し、シュヴィを変え、そしてリクの覚悟が人間の神であるテト(cv釘宮のやつ)を通じて世界を変える。
 
 
 
 
つまり、世界の傍観者でしかなかった人間=リクがシュヴィとの出会いによって状況に関与することによって世界を変える物語でした。世界を変えるに至るに至るまでの気持ちの変化がしっかり示されていた。改めて白と空がいるディスボードの平和さが理解できました。
 
 
 
 
 
・・・とまあ簡単な感想はこんな感じで、次から細かい感想です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

自分の立ち位置がわかると、人は動き出せる

 

 
 
僕はこの動画の上の部分が結構好きなんですけど、僕だけで確実に再生数を100回増やしているはず。お風呂で3日に1回くらい聞いている。そのくらいこの動画が好きです。まさに今回は「え!まさにこれじゃん!」って思いました。
 
20:00~25:00のところです。
 
一応補足すると、マブラヴシリーズの開発会社であるageによるマブラヴの解説動画の6回目です。解説者は原作の吉宗鋼紀さんと批評家のペトロニウスさん。本編の重大なネタバレはほぼないです。
 
 
 
 
 
 
 
全てが明らかになれば、前向きに頑張れるという話ではない。
 
 
 
全てが明らかになるとどうにもならないことがよくわかる。
 
 
 
だけど、どうにもならないことが全てわかると、人は初めて前に進むことができる。
 
 
人間ってなんでもそうだけど、自分がどこにいるかわかると動き始めることができるんですよね。
 
 
 
例えば対人関係トラブルもそうだし。
 
 
 
いろんなトラブルで自分の置かれた場所がわかると、ポジショニングがはっきりすると手の打ちようがある。わかんない状態が一番動けないじゃないですか
 
 
 
特に吉宗さんの発言が、リクの状況にそのものじゃないでしょうか。リクはあの世界での立場がよく分かっていない。どうにかしたいと思っていてもどうやったらいいかわからないから動けない。だからなし崩し的に今を生きていくしか方法がない。そこでシュヴィの登場する。
 
 
 
 
シュヴィと心を通わせることを通して、自分の本当にやりたいことを見つめ直す。加えて世界ではなぜ戦争をしているのか、そしてどうやったら戦争が終わるのかを知る。これがあったからこそなせる物語になっている。
 
 
 
シュヴィのおかげで、 
 
なぜ戦争をしているのかが分かった。
 
 
どうやったら戦争が終わるのかも分かった。
 
 
自分が「本当はどうしたいのか」も分かった。
 
 
 
つまりシュヴィの登場によって
 
自分が今どこにいて、この状況をどうしたいのか
 
がはっきりする。
 
 
 
ここまで条件が揃えば、そりゃ動くよね!
 
 
 
シュヴィがきっかけを与え、リクが実行する。ウルトラ綺麗なボーイミーツガール的な関係ができている。シュヴィもリクから心を知り、リクのために何かをしてあげたいと人並みの感情を持つ。互いに必要とする関係もまためっちゃいい。
 
 
 
 
シュヴィの心の変化が、エクスマキナのプログラムも変えた。シュヴィのリクへの思いがエクスマキナが味方になる展開を引き起こした。1人の思いが全体に広がる。ゲームのトータルイクリプスの最後に「あの展開」に似てましたね。トータルイクリプスのネタバレ防止なのでわかる人だけわかってください。その他の方は是非マブラヴオルタネイティヴトータルイクリプスを買ってみよう!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それに、どうやって終わらせればいいか分かったからこそリクは戦争を終わらせることを「ゲーム」だと言ったんじゃないかな。終わりがはっきりしているからこそ、あとはそこを目指せばいい。自分の中のやりたいという動機と、明確なとしたゴールが見えたからこそリクは動き出すことができた。戦争が続くよくわからない状況が、シュヴィの登場でリクは自分ががやるべきことを見出せた。そんな現実を迷走する若者が自分のやるべきことを見つける物語になっている。
 
 
 
 
まあついでに言っておけば、現実世界の戦争では始まりに理由はあっても、終わらせかたなんて誰もわからない。本当ならば、どうやって集結させるべきかと考える過程があるが、今回はそれがない。なのでノゲラゼロは物語の構造的にはとってもシンプルだった。でも多分、終わらせ方がわからなくてもリクは動いたような気がするけどね。戦争の終わらせ方を探すために。
 
 
 
 
 
 

世界・社会のルールを知ると言うこと

さっきも書いたけど、どうしたらわからない状況が一番どうしようもない。リクを見ればわかるけど、どうにかしたいと思っていても、今いる状況がわからないとどうしようもない。
 
今回だと、シュヴィによって
  • ゲームを終わらせる条件(これが重要)
  • 人間の立場=人間はもう絶滅していると思われている
 
が情報としてもたらされた。これに加えてリクの中の動機が核となり、世界を変えるために動き出す。
 
  • 戦争のきっかけは「唯一神」になること
  • 勝利条件は「力を示すこと」
 
多種族は他の種族を全て滅ぼすことで「力を示す」ことにしている。
 
 
 
 
当然、人間はとんでもパワーの化け物に勝る力はないので、全種族の特殊兵器をぶつけて、誘導することで「力を示す」ことにした。人間はもう存在していないと思われているので、バレないように情報を錯綜させて部族間を暗躍しまくる。ここら辺の設定の説明はちょっと理解しずらかったが、だいたいこんな感じだったと思う。ここら辺は原作読まないとダメですね。もしくはもう一回見るか。2回目ってだいたい眠くなるんですよねー。なのであまりやりたくない。ガルパン劇場版は2回見ましたけど日常シーンが眠たくてしょうがなかった。
 
 
 
 
これもリクの精神的な成長もそうだけど、その後の動きもルールを知ったからこそどうするべきかがはっきりした例になってました
 
 
 
超有名な自己啓発本の「思考は現実化する」で、かなり初めの方に描かれているのが「明確な願望の設定」になっている。
 
 
しかし心の底から金持ちになりたいという願望を持ち、その願望の成就のために揺るぎない計画を立て、さらに決して心を他のことで迷わせない、という硬い決意を持ってその計画を行動に移せば、願望は必ず達成するのである。

 

思考は現実化する〈上〉

 
 
 
 
これ「金持ち」を「世界を変える」に変えると今回の映画の内容をかなりぴったり言い表わしてませんか・・・。
 
 
 
 
これって現実世界でもだいたい一緒だと思うんですよね。今、目標がないという子供が多いのとかって、世の中が複雑すぎて自分がどうしたらいいのかわからなくなっちゃっているからじゃないのかなーって思います。塾の生徒とか見ててそう思った。僕自身もそうだったし。けどわからないから動かなかったら何も変わりません。
 
 
 
僕らの世界では黙っていても目の前にシュヴィちゃんは落っこちてきません。たとえ落っこちてきても、世界のルールなんて教えてくれません。世界を終わらす為の勝利条件も教えてくれません。ついでにいきなり一方的にチューもしてくれません。だからこそ、自分でなんでもいいから目標を設定して、それを達成するために人や本や自分の経験から世界や社会のルールを勉強していく必要がある。それでそのルールを知った上で、自分がどう行動をするべきかがわかる。分かったらそのあとは結構動くのはゴールが見えているので楽です。僕も発展途中だからはっきりは言えないけど、たぶんそうだと思いますよ。
 
 
 
 
テレビ版はもうすでにゲームが始まった時には勝負は決まっているって感じだった。けど映画ではリクが周到に準備をして命がけで乗り越えていた。灰?みたいなものを食べてエルフとチェスするところとかですね。空みたいに異世界のゲームの知識もないし、物理的な脅威もある。なので、ある意味本編より泥臭い状況で逆転を目指していく様子から過酷さが際立っていて良かったです。
 
 
 
 
 
 
 
 

シュヴィの心の変化・何をするべきか自分で決める

リクの成長も外せませんが、シュヴィちゃんの変化も重要ですね。昨今AIは話題ですけど、今回はシュヴィはAIとか機械とかではなく、とっても純粋な人間のような感じで見るといいんじゃないのかな。人間を観察して心を知ってある意味機械じゃなくなったシュヴィが、直接リクと干渉することで、シュヴィの心がどんどん大きくなっていった。最初は任務のためだったのかもしれないけど、最終的には自分の意思で決めて行動できるようになった。徐々に自分の意思が芽生えるって部分が良かったです。
 
 
 
 
機械が心を持ってそれが世界を変えるってシチュエーションはよくあるけど、その状況がめぐりめぐって空と白の二人につながっているんだと思うと、とてもしみじみしました。今度は一緒にいようなってところが感動でした。
 
 
 
 
テレビ版では空と白が協力してゲームをクリアするのが見どころでした。けど今回は戦争という現実をゲームに置き換えて、リクとシュヴィでどう乗り越えるかという状況になっていた。世界観は違っていてもやっぱり雰囲気はノゲラの世界でしたね。
 
 
 
 
 
 
 

最後に

テレビ版では空が自分の知識と妹の白を使ってどうゲームを乗り越えるかって部分が鍵でした。でも今回の劇場版では、戦争を終わらす=ゲームの攻略としての構造やギャグの雰囲気など、ノゲラの世界観をさらに広げる意味でとても良い映画でした。
 
 
 
 
原作だと6巻にあたるみたいですね。

 

ノーゲーム・ノーライフ6 ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです (MF文庫J)

 
 
 
 
 
劇場版の売り上げも好調みたいですし、2期もあるといいなー。
 
 
 
 
 
 
 
 
さて 僕もそろそろ人生ゲームを再開したいと思います。
 
 
 
めっちゃクサイですけど、今日はこれで締めたいですね。
 
 
 
 
さあ、ゲームをはじめよう。
 
 
 

 

 

 前作感想

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