物語の思考法

~2次元と3次元をつなぎたい~

閃の軌跡Ⅲ (2017) 感想(旧版) 「軌跡の物語としては面白いが、Ⅶ組の物語としては残念」

英雄伝説 閃の軌跡III

評価:★★★☆☆(星3.5つ)
 
 
 
閃の軌跡Ⅲクリアしたので感想を書きます。全てネタバレですので、クリア後に読んで下さい。
 
 
 
未プレイ向けに書くと、閃の軌跡閃の軌跡Ⅱ をやっていない人はおすすめできません。なので上記の2作をクリアしてから購入しましょう。
 

 

 
 
僕の背景は以下のものになっています。参考までに。
プレイ時間:80時間 発売日に購入、10日ほどでクリア
プレイ作品:空3作、零碧、閃Ⅰ 閃Ⅱ 全てクリア済み 
(ついでに那由多の軌跡もプレイ済み)
 
 
 
 
※10/11 追記
記事を書き直しました。僕的にはこっちの方がおすすめです。

 

 

 

 

 
 

ストーリー

 
3章までは結社の実験を追いつつ、内戦後の世界を確認する旅をしている感じだった。他の騎神が出てきたり、リィンの過去や鉄血の子供達の過去が明らかになってきて風呂敷を畳みだしたなぁという印象。
 
 
 
 
特に盛り上がるのがやっぱり4章と終章で、共和国との戦争の兆し、至宝の登場、カレイジャス轟沈などワクワクする展開が満載でした。最初からその密度で進んで欲しい。全体を通して旧7組の謎のでしゃばりと無駄なカッコつけシーン、絆(笑)イベントがなければさらに満足でした。
 
 
 
 
基本的には
 
 
 
学校での活動 → 演習開始 → その土地を回る → なんか強敵が現れる →  土地を回る → ボスを倒す
 
 
 
 
みたいな感じ。展開は閃Ⅰ 閃IIと変わらない。さすがに3回目なのでちょっと飽きてきた。学園イベントよりも軌跡としての話を重視してほしい。もう3作目なんだから、空の軌跡SCみたいに最初から飛ばしてほしい。
 
 
 
 
 
 
1~3章までは
新7組演習開始 → なんかピンチになったぞ! → くっ! ここであの力を使うしかないか… → そこまでよ!
 
 
 
 
終章では
敵登場 → バトル! → ここは俺に任せて先に行け! → 最初に戻る
 
 
 
 
といったテンプレ展開の繰り返し。3章では「あぁ… ここで誰か来るんだろうなぁ… 」と呆れかえっていました。そのあとの薄っぺらい再会のシーンはバツボタン押して飛ばしていました。
 
 
 
 
テンプレの展開を繰り返しすぎというのは、今回からではなく前作でも指摘されていたこと。それを今回も繰り返すというのは、シナリオが下手なのか、そもそも僕のようなフィクションの目が肥えている人はもはやターゲットに入っていないということだろうか。テンプレとお約束は全く別。かっこいいシーンも多様すれば陳腐な表現になるので、少しは工夫して欲しいです。
 
 
 
 
 
本作でいらない子がいたのも気になった。エリオット(この子が一番いらない)、ガイウス、マキアス、ラウラあたりは今回出てこないていいんじゃないのかな。いなくてもなんとかなるのに無駄にストーリーに絡んでこようというシナリオが鼻について、気がついたら再びバツボタン長押ししていました。
 
 
 
 
ガイウスも聖杯騎士というのも「うーん」と感じた。碧のワジや空のケビンに比べたらあっさりしすぎ。聖痕ってトラウマがないとダメなんじゃなかったっけ? しっかり背景を描かないとガイウスや聖杯騎士という存在に説得力がなくなって、お話が軽くなってしまう。今まで積み上げてきた話に見合うストーリーを組んで欲しかった。
 
 
 
 
 
 
 

キャラクター

軌跡の物語としては面白い。だけど7組の物語としては全く面白くない。その理由を語るのに、少し時間をを取らせてもらいたい。僕はストーリーには2つの要素があると思っている。世界観とキャラクターのことです。世界観がなければ、そこで活躍するキャラクターたちに感情移入することは難しい。だからこそしっかりとした世界観を構築して、その世界がまるで本当に存在しているかのような感覚を与える必要がある。
 
 
 
 
 
そこからいえば、閃の軌跡の世界観は空、零碧で積み重ねられた背景に閃もしっかり乗っている。零碧からその後のクロスベルの様子、ハーメルの詳細、黒の工房、結社の動き。ここら辺の展開にはすごく興奮した。シリーズを通して世界観はすでに確立されているため、あとはその舞台でどうキャラクターを動かして、世界観を明らかにしていくかが重要になっている。
 
 
 
 
 
そこでキャラクターのストーリーに入っていくのだけど、残念ながら7組としての物語はあまり面白くない。少々閃I、閃IIの話になるが、前作・前々作では数が多すぎるためキャラクターの背景が描ききれず、上っ面の表面上の友情や絆といった感じがしていた。空のエステルとヨシュア、アガットとティータなどのように詳細に過去を描き、その上で繋がりが生まれるといった要素はあまり感じられなかった。それぞれが単独でしか生きていない。ヨシュアやレンに影響を与える人間はエステルでないといけないし、エステルに影響を与える人間はシェラザードやカシウスでなければいけなかった。
 
 
 
 
 
 
だけどリィンは確かに学園で成長したかもしれない。だけどその仲間はアリサやエマやラウラやフィーやガイウスである必要はない。クロウだけ存在していればいい。他にも例をあげれば、マキアスの喧嘩相手は貴族であればよくて、ユーシスである理由がない。ミリアムでは「7組のみんな」であることが重要であって、別にリィンやユーシスである必要はない。そんな感じでキャラクター同士の関係性の薄さが際立っていた。
 
 
 
 
 
 
加えて関係の薄さを絆とか友情とかという使い古された言葉を押し出して、ありもしない繋がりを全面にアピールしている様子に違和感を覚えた。それに、いなくてもストーリー上なんとかなるキャラも存在している。エリオットとか無理に出す必要ないよね。他の人でもなんとかなるようなキャラをわざわざ出す必要はない。そんなメインキャラクターの同士の薄っぺらさが閃I、閃IIのキャラクターの話が好きになれない理由だった。
 
 
 
 
 
 
そんなキャラクターたちが満を辞して閃Ⅲに登場してピンチを救ったり、いきなり猟兵や執行者や使徒と対等に渡り歩いたりしても疑問しかない。かっこいいシーンなのは伝わるが、そんなの見せつけられても困る。背景の薄いキャラクターたちが活躍している様子はポカーンとするだけでなんの感動もない。
 
 
 
 
 
 
僕にとって7組は、クロウとリィンの関係性以外はあまり意味あるものではなかった。むしろ今作でいえばイリーナ会長とシャロンの関係とか、オズボーン宰相と鉄血の子供達の繋がりとかの方がよっぽどストーリー的には魅力的だった。上記の表現を繰り返せば、シャロンにとってはイリーナ会長、鉄血の子供達にとっては宰相でなければならないということだ。
 
 
 
 
 
 
新7組はまあまあいい感じ。旧7組と比べてリィンを持ち上げる集団ではなくなっている。リィンが教官という立場に立つことによって、旧7組のような関係性の薄さは若干解消されていた気がした。けれどもやっぱり違和感を感じる部分は少しあった。
 
 
 
 
 
 
ユウナが特務課と知り合いというのは若干違和感があった。クルトがヴァンダールの人の弟というのは別にいい。サブキャラの幅が広がっただけだから。けれどメインキャラであった特務課にさらに知り合いがいました!というのは後付け感がものすごくした。
 
 
 
 
そこまでの知り合いなら前作に影も形も出てこないのは少し違和感がある。ただの特務課に憧れを抱いている女の子じゃダメだったのだろうか。いきなり実は特務課全員とかなりの知り合いになっています!というのは少し受け入れずらかった。クロスベルの現状を描くものとして必要なキャラクターだということはわかっている。だけどわざわざ特務課との濃い接点を作る必要はない。そこを除けば、2章でクロスベルが再び好き勝手されるタイミングで一発文句をいうシーンはくるものがあった。
 
 
 
 
アッシュがハーメルの生き残りというのも後付け感があった。ハーメルの生き残りという話は空で一回使っているので、それを焼き直すのは盛り上がりに欠けるのではないか。アッシュが生き残りだということでは、ヨシュアが生き残った過去が軽くなってしまう。
 
 
 
 
 
あと、異名がついた人間が多すぎやしませんかね。モブキャラみたいな人にまで変なあだ名がつくものだから少し変に思ってきた。この世界には普通の人は存在していないのか…
 
 
 
 
 
 
上記をまとめると、世界観に関しては軌跡の良さが出ていて、本作でも世界観の謎が明らかになって楽しかった。キャラクターに至っては旧7組の関係性とテンプレ展開は相変わらず違和感がある。
 
 
 
 
だけどサブキャラクターたちの背景は非常に濃く、加えて前作のキャラクターたちのその後も知ることができるのでそこはとても感動した。ティータとレンの約束の言葉は涙が出てきた。早く成長した姿を見たいです。それにハーメルにたどり着いた時にはBGMで涙腺が崩壊した。過去作との繋がりをしっかり描いていたのはとてもよかったです。
 
 
 
 
 
 
 
 

ゲーム性・UIなど

街を駆け巡り、住民に話を聞いて世界観を味わうのが軌跡シリーズの定番のいわゆるマラソンだけど、今回もしっかり整っていました。ここら辺はさすがに丁寧ですね。加えてサブイベントなどは全てマップに表示されるので、しっかりマップを参照していけばやりこみ要素見逃さないようになっていました。空の軌跡と比べるとここら辺は優しくなっています。
 
 
 
 
戦闘シーンではキャラクターのHPやCPの表示がやや小さかったため少し見ずらかった。まあ僕の目が悪いだけかもしれないですけどね。
 
 
 
 
ロードは早い。閃Iのような数十秒ロードを待つ、なんてことはない。非常にスムーズにプレイできました。でもNPCが多いエリアでは若干カクついた。PS4Proでプレイしてカクつくのだからこれはもうしょうがないのだろう。
 
 
 
 
 
 
 

演出

3Dキャラクターは前作に比べて綺麗になっている。途中で閃Ⅱの回想が入るが、そこの3Dキャラと比べても圧倒的に綺麗になっている。PS4勢にとってはvitaを切って正解でした。
 
 
 
 
ただし、キャラクターの動きに関しては前作同様に技術力不足が目立っている。特にストーリー中の殺陣シーンが残念。前作と比べればやや良くなっているけど、相変わらず演出が稚拙としか言えない。スローモーションの多様で迫力が薄れてしまう。FFやテイルズと比べてしまうと、やはり棒立ち感が否めない。演出の稚拙さも相まって、ストーリーのつまらなさが目立ってしまっている。
 
 
 
 
OPのムービーもアニメなのはいいのだけど、どうしても歌と絵がマッチしているとは言えない。絵も超綺麗とは言い難い。なのでもう少し頑張って欲しいというのが素直な感想。やっぱりアニメって高価なんですね。
 
 
 
 
 
 
 
 

戦闘

今作はいかに相手をブレイクさせるかがカギになる。高揚状態になった相手は手がつけられない…… なので、とにかくブレイクさせる→相手にターンが回ってこないうちに殴りまくる。という戦法になる。というかこれだけが戦闘のコツなので、ボスも含めた大抵の敵に楽勝で勝っていた。
 
 
 
 
 
後半はボスですらノーダメージ。リィン+カグツチ+ゴーズ+CPup装備+神気合一+裏疾風で雑魚は1ターンキルできました。CPも相手が4体以上なら一気に200まで回復するので次の戦闘も安心。あとで装備のスクショ貼っときます。
 
 
 
 
 
 
 

音楽

今作は耳に残るBGMはなかった。前作から使用されている精霊窟や星の在り処などのBGMくらいだったかな。歌に関してはOP、ED共にいい感じです。特にエンディングの悲壮感漂う中の歌はとても良かったです。早く配信してくれぇっ!!!
 
 
 
 
 
 
 

総評

旧7組の友情やテンプレな展開、かっこいい(笑)な演出を除けば、閃の軌跡としてのストーリーがまとまりだして、かつ零碧や空の伏線も少しずつ回収してくるストーリーはとてもよかった。キャラクターも旧7組以外は魅力的で、特にランディやティータを始めとする零碧や空のキャラの再登場は色々感慨深かった。ゲーム性も快適でマラソンも戦闘も気持ちよくプレイができた。ラストはぶつ切りエンドなので、早めの次回作を期待したいです。
 
 
 
 
 
そんな感じでした。感想はこんな感じにしておきます。長文におつきあいいただき、ありがとうございました。
 
 
それではー
 
 
 
 
英雄伝説 閃の軌跡III

英雄伝説 閃の軌跡III